出版社内容情報
16世紀ロンドンに完成した常設劇場《グローブ座》―その特異な劇場で、シェイクスピアは役者の身体を借りて、ダイナミックな舞台を現出させた。観客が視聴覚を働かせ想像的に参加する仕組みの「舞台構図」。対照や照応、変奏や反復といった「場面構成」。あらゆる階層にあわせた台詞や短い台詞、そして沈黙という手法まで使う「言語形象」。文学の伝統や象徴の体系、原話との比較、美術史なども視野に入れ、「登場人物」の関係を中心に、悲劇(『オセロー』『マクベス』)、問題劇(『尺には尺を』『トロイラスとクレシダ』)、後期ロマンス劇(『
内容説明
躍動するシェイクスピア演劇。シェイクスピアの寓意性を帯びた舞台空間とことばの象徴の魅力。
目次
プロローグ 演劇の図像学的研究への流れと三つの視点
舞台構図・場面構成・言語表象(非言語表象)
第1部 悲劇(『オセロー』における聖なる次元―秘蹟劇的変容と舞台表象の意味;アナモルフォーズの画家イアゴーのトリック―『オセロー』における狂気の構図;『マクベス』における血の幻影の演劇的意味―セネカの『狂えるヘルクレス』と比較しつつ;ルネッサンスの絵画と演劇の図像学―レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」と『マクベス』の“祝宴”のモチーフ)
第2部 問題劇(『尺には尺を』の迷宮の構図―公爵はなぜ裁きを引き延ばしたのか;『トロイラスとクレシダ』の戯画化の技法―言語表象と舞台表象に見る伝統と創造)
第3部 晩年のロマンス劇(『冬物語』の動き始めた彫像―「身体」のメタファーの意味するもの;『ペリクリーズ』の「死」と「再生」のモチーフの変奏と舞台構図―シェイクスピアの秘蹟劇のバロック的展開)
エピローグ 温故知新
著者等紹介
今西雅章[イマニシマサアキ]
1933年生まれ。帝塚山学院大学名誉教授(言語文化博士)、上智大学ルネッサンス研究所幹事。同志社大学文学修士、サセックス大学大学院にBCスコラシップを得て留学(MA)、上智大学大学院特別研究員(1985年)、帝塚山学院大学文学部教授を経て、関西外国語大学大学院教授(2006年退職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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