- ホーム
- > 和書
- > 新書・選書
- > 教養
- > 幻冬舎ルネッサンス新書
内容説明
政府の現役閣僚他、国会議員の靖国参拝により、毎年噴出する「靖国問題」。しかし、「公人としての参拝か私人としてか」といった「政教分離論議」と、「周辺諸国への配慮に対する国粋主義的な主張」が繰り返され、話は平行線をたどるばかり。本書は、靖国が戦後改革の中で講じた「生き残り策」と当時の時代状況を、膨大な原資料を読み解くことで、「靖国問題」の深層に肉薄する。
目次
十年ひと昔
ワンセット思考を超えよう
「昔のほうがましだった」という嘆き
靖国神社の創建から中曽根参拝まで
A級戦犯合祀のいきさつ
中曽根参拝以後
靖国神社は「布袋の中の錐」
知られざる占領下の攻防
語り残したこと
著者等紹介
三土修平[ミツチシュウヘイ]
1949年、東京生まれ。東京大学法学部卒業。経済企画庁、神戸大学大学院経済学研究科、愛媛大学法文学部教授を経て、東京理科大学理学部教授。経済学博士(神戸大学)。経済学の研究・教育に携わる傍ら、長年宗教問題にも取り組み、求道的側面と社会批評的側面との両面で活動している。奈良の東大寺(華厳宗)で得度(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももすけ
33
国家神道として国民を死地に向かわせたと言う意味では、やはりどこか今、コロナで直面しているいささか人命軽視と思われる政治に通じるものを感じてしまう。外交問題というより、もともと国内問題であることに納得した。2021/04/26
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
16
靖国問題を考える上で本質的に問われなければならないものを、同神社がたどってきた歴史を紐解きながら明らかにした一冊。戦死者の追悼のあり方や政教分離、諸外国との関係などさまざまな論点があるけれど、つまるところは過去の戦争とそこで果たした靖国神社の役割をどうとらえるかに問題の根があり、それを中途半端にしてきた戦後日本のありようこそが問題を複雑化させていると感じた。しかしながら、いつまでもそれを続けているわけにはいかない。いまこそ原点に立ち返った冷静な議論が必要であり、そのためにも本書が多くの人に読まれてほしい。2013/10/01
coolflat
10
靖国神社についての、起源、歴史、果たして来た役割、抱え込んだ矛盾などが整理されている。今日の靖国問題の起源は、占領下におけるGHQと日本政府の攻防にあった。GHQは占領にあたり、国家と神道とが結びついた国家主義を廃するために「政教分離」、そして戦中弾圧された新宗教を保護するために「信教の自由」を用いた。ところが日本政府は「信教の自由」という錦の御旗を逆手にとり、靖国神社を宗教として、民間の神社の形で残すことにした。国家神道思想をなるべく無傷で生きのびさせるための手段として「信教の自由」を活用したのである。2014/08/15
イカ
2
靖国問題の本質。「戦前に国家の施設であった靖国神社が戦後は民間の一宗教法人として存続することになった事実と、にもかかわらず同神社の公的復権を求める社会的勢力が存在する事実の結果として生じた諸問題の総体」(52)。 左派は表面上「憲法上の宗教にあたる」と言いつつ潜在的には「宗教の名にも値しない政治的施設」と見る。右派は表面上は「宗教というよりはむしろ公的儀礼」と言いつつ潜在的には「日本国民ならだれでも従うべき公共の宗教」と見て「現行憲法下で宗教としてあつかわれてメリットあり」と考える(159)。2015/08/23
えりこ
0
靖国問題より少し難しかった。これまで読んで何か見えてくるかなと思ったけど、な〜んにも見えてこない。というより、余計に迷路に迷い込んだ感じ…。2014/02/05