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内容説明
源氏物語は単なる恋愛小説ではなかった。光源氏の巧妙な「うそ」、女性たちの苦しみ、僧都の権力者へのへつらいなどを掬い取るうちに、成熟した社会の病が見えてくる。物語には、貴族社会への批判と警鐘がひそんでいたのだ。源氏物語をより楽しむための恰好の指南書。
目次
第1章 源氏物語を読むためのヒント(源氏物語はなぜ広く読まれないのか;源氏物語挑戦への道)
第2章 光源氏の世界―理想的という虚像に生きた男の物語(光源氏と藤壼;女性たちは幸せに生きたか;光源氏と紫の上;光源氏という人物)
第3章 浮舟の世界―自らの決断を生きた女の物語(浮舟登場まで;浮舟登場;よみがえる浮舟;浮舟という女性)
第4章 源氏物語を読もう(源氏物語をどのように読むか;源氏物語への挑戦)
著者等紹介
田中宗孝[タナカムネタカ]
1941年、奈良県生まれ。64年、東京大学法学部を卒業。国家公務員・地方公務員を経て、99年、日本大学法学部教授、11年10月、退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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黎
2
「うそ」に注目して解釈を述べた本書。古典というと、そこに書いてあることはそのまま受け取りたくなるところだが、人々は嘘を吐きまくっている。煌びやかに描かれる顔とは別に、痛烈に当時の貴族社会、男性、世の中を批判する顔を見ることができる。紫式部が単にこの物語を書いたのではないことは、源氏物語を読んだことがある者ならなんとなく感じる。 なるほどなと思ったのは紫式部の百人一首の短歌が、源氏物語で語られる歴史の重み、人の多面性、儚さに通ずるという解釈である。「雲隠」という巻にも通ずる。2021/10/16