内容説明
「兄者、我等は立とう。足利のみならず、天下万民のために立つのじゃ」足利高氏(尊氏)は弟の言葉で遂に決断した。高氏二十九歳、弟の直義二十八歳の春であった。豪胆だが迷いが多い兄に対して、頭脳明晰な弟は決断が早い。ふたりは鎌倉幕府へ反旗を翻し、戦い続けること五年、尊氏はようやく征夷大将軍に任ぜられる。いまだ太平の世とはほど遠く、彼等の周囲には不穏な空気が漂いはじめていた…。その対照的な生き方が招いた激しい葛藤と悲劇を、静謐な筆致で描く歴史小説。
著者等紹介
北爪正徳[キタズメマサノリ]
昭和11年2月26日、群馬県前橋市に生まれる。昭和17年より21年にかけて、中国山東省青島市に居住。父は青島市公署勤務。昭和21年3月、終戦により群馬県の父の郷里に引き揚げる。昭和29年3月、群馬県立前橋高校を卒業。鉄道会社、陸上自衛隊(化学発煙中隊)、建設業、運輸会社等を経て、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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