日本の「射精責任」論

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日本の「射精責任」論

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  • サイズ 46判/ページ数 336p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784778340988
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0030

出版社内容情報

私たちはもう、「射精責任」という言葉がない世界には戻れない――。

「望まない妊娠」は男性の「無責任な射精」が原因であると喝破したことで、刊行直後から大きな話題となったガブリエル・ブレア『射精責任』(村井理子訳、齋藤圭介解説)。そこからさかのぼること約30年前、日本ではすでに、男性の射精とその責任をめぐる議論が行われていた。

蓄積された知見を蘇らせるだけでなく、第一線で活躍する13名の研究者が現代における課題をそれぞれの専門領域から議論した。男性と射精をめぐる議論の現在地をあきらかにすると同時に、進むべき道を明らかにした論文集。


【目次】

はじめに――赤子を遺棄した女性は加害者なのか

第1章 ガブリエル・ブレア『射精責任』と日本の射精責任論 齋藤圭介

第1部 日本の射精責任論

第2章 〈孕ませる性〉の自己責任――中絶・避妊から問う男の性倫理 沼崎一郎
第3章 孕ませる性と孕む性――避妊責任の実体化の可能性を探る 宮地尚子
第4章 膣内射精性暴力論の射程――男性学から見たセクシュアリティと倫理 森岡正博

第2部 男性学・男性性研究からの問題提起――「射精」×「男性」

第5章 男性の「ケアの力」という課題――射精責任論とマスキュリニティ 伊藤公雄
第6章 『射精責任』と精子の行方 赤川学
第7章 男性の射精責任をどう考えるか 森岡正博
第8章 生殖に関する責任の共有に向けた男性支援へ 多賀太

第3部 フェミニズムからの問題提起――「射精」×「フェミニズム」

第9章 「射精責任」と「女性の自己決定権」 江原由美子
第10章 性的同意と射精責任 菅野摂子
第11章 女性のリプロと男性の射精責任 塚原久美

第4部 異性愛、自然性交、生殖をめぐる規範の外側からの問題提起

第12章 孕ませられない責任――男性不妊の文脈で「射精責任」を考える 竹家一美
第13章 異性間による射精責任を相対化する――同性間による人工授精とHIVの文脈から 新ヶ江章友
第14章 生殖する身体から避妊や妊娠の責任を考える 中真生

第15章 男性の射精とその責任をめぐって 齋藤圭介

あとがき

内容説明

私たちはもう、「射精責任」という言葉がない世界には戻れない―。男性学、フェミニズム、同性愛、不妊、身体論から射精を巡る議論の過去・現在・未来を照らし出す。

目次

ガブリエル・ブレア『射精責任』と日本の射精責任論(齋藤圭介)
第1部 日本の射精責任論(〈孕ませる性〉の自己責任―中絶・避妊から問う男の性倫理(沼崎一郎)
孕ませる性と孕む性―避妊責任の実体化の可能性を探る(宮地尚子)
膣内射精性暴力論の射程―男性学から見たセクシュアリティと倫理(森岡正博))
第2部 男性学・男性性研究からの問題提起―「射精」×「男性」(男性の「ケアの力」という課題―射精責任論とマスキュリニティ(伊藤公雄)
『射精責任』と精子の行方(赤川学)
男性の射精責任をどう考えるか(森岡正博)
生殖に関する責任の共有に向けた男性支援へ(多賀太))
第3部 フェミニズムからの問題提起―「射精」×「フェミニズム」(「射精責任」と「女性の自己決定権」(江原由美子)
性的同意と射精責任(菅野摂子)
女性のリプロと男性の射精責任(塚原久美))
第4部 異性愛、自然性交、生殖をめぐる規範の外側からの問題提起(孕ませられない責任―男性不妊の文脈で「射精責任」を考える(竹家一美)
異性間による射精責任を相対化する―同性間による人工授精とHIVの文脈から(新ヶ江章友)
生殖する身体から避妊や妊娠の責任を考える(中真生))
男性の射精とその責任をめぐって(斎藤圭介)

著者等紹介

斎藤圭介[サイトウケイスケ]
1981年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修了・博士(社会学)。岡山大学学術研究院社会文化科学学域准教授。ジェンダー研究、社会学

沼崎一郎[ヌマザキイチロウ]
1958年生まれ。ミシガン州立大学大学院人類学科博士課程修了・Ph.D.(人類学)。東北大学名誉教授。文化人類学、男性性研究、東アジア研究

宮地尚子[ミヤジナオコ]
1961年生まれ。京都府立医科大学医学研究科修了・博士(医学)。一橋大学大学院社会学研究科特任教授。文化精神医学、医療人類学

森岡正博[モリオカマサヒロ]
1958年生まれ。東京大学大学院人文科学系研究科単位取得(倫理学)。博士(人間科学、大阪府立大学)。早稲田大学人間科学学術院教授。哲学、ジェンダー学

伊藤公雄[イトウキミオ]
1951年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程 学修退学。京都大学・大阪大学名誉教授。文化社会、政治社会学、ジェンダー論

赤川学[アカガワマナブ]
1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修了・博士(社会学)

多賀太[タガフトシ]
1968年生まれ。九州大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学・博士(教育学)。関西大学文学部教授。教育社会学、ジェンダー学

江原由美子[エハラユミコ]
1952年生まれ。東京大学大学院社会学研究科社会学Aコース博士課程中退、博士(社会学)。東京都立大学名誉教授。ジェンダー研究、社会学

菅野摂子[スガノセツコ]
1963年生まれ。立教大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学・博士(社会学)。東京科学大学社会連携・DE&I本部特任教授。社会学、ジェンダー研究、医療社会学

塚原久美[ツカハラクミ]
1961年生まれ。金沢大学大学院社会環境科学研究科修了・博士(学術)。一般社団法人RHRリテラシー研究所代表理事。中絶問題とリプロの権利に関するフェミニスト研究

竹家一美[タケヤカズミ]
1961年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科修了・博士(社会科学)。日本女子大学ほか非常勤講師。ジェンダー/セクシュアリティ研究、社会学

新ヶ江章友[シンガエアキトモ]
1975年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科修了・博士(学術)。大阪公立大学人権問題研究センター教授。クィア・スタディーズ、文化人類学

中真生[ナカマオ]
1972年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得満期退学・博士(文学)。神戸大学人文学研究科教授。哲学、倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

17
ベストセラーとなったガブリエル・ブレアの『射精責任』は、女性のリプロダクティブ・ヘルスに対する責任を男性に突きつけたという意味で画期的であった。本書は、日本における男性の射精の問題について、日本の研究者の論稿を編纂したものである。すっきりした議論のみを切り取るなら、氾濫するポルノやインターネットの誤った情報に接する若者がいて、その原因が包括的性教育の不在にあるとする話がわかりやすい。不同意性交等罪が成立し、性的同意が重視される現在だからこそ、男性は避妊に対して、暴力に対して無関心ではいられないのだ。2026/03/14

駒場

4
『射精責任』について、日本では実はピル解禁の議論があった90年代に男性学の研究者から問題提起があったという話は驚いた(ただあまり発展・継続しなかったようだ)。従来の中絶議論は女性・胎児の対立モデルだったが、透明化されている男性を組み入れたトライアドとして議論していく必要性を述べる。そりゃそうだ!と直感的に腕を振り回したくなるが、男性責任を前面化することで逆に女性の主体性が否定されたり、女性の出産強要=家父長制への隷属強要につながる懸念もあると。この本がプラットフォームとして参照され議論が深化することを望む2026/01/30

すのさ

3
日本でも2000年前後のピル解禁を契機として、男性の射精責任をめぐる議論が展開されていた。本書では沼崎論文、宮地論文、森岡論文が挙げられている。どれも現代社会を論じたものかと思うくらいの新しさがある。つまり、第15章でのまとめにもあるように、日本の射精責任論は2000年前後に鋭い議論が放たれたものの、社会に浸透することなく埋没してしまったようだ。そこから現在、ブレアの『射精責任』が話題となったなか、読者として考えるべきは射精責任論をどのように社会に展開していくことかだろう。2026/10/07

たろーたん

2
射精責任とは何か。どこに面白さがあるのか。それは、今まで中絶の責任は「女性100、男性0」だったのに対して、射精が無ければ妊娠はできないのだから、望まない妊娠の原因はむしろ「女性0、男性100」ではないかとしたところである。妊娠後の出産においては、男性も養育費などで責任を取るが、それより前にある妊娠前においても男性の責任の所在を訴えたのが射精責任の面白い点である。つまり、極端に言えば、中絶問題は女の問題ではなく、男の問題なのだ。(続)2026/08/19

brzbb

1
望まない妊娠は男性が射精しなければ100%存在しない、というブレアの『射精責任』の論点はシンプルで明快。実は約30年前の日本で論じられていた射精責任論の論文や、男性学、フェミニズム、不妊、同性愛などの視点から、日本社会における「射精責任」論を集めている。中絶と男というとアジェイ=ブレニヤーの短編「ラーク・ストリート」を思い出す。最近観た映画『マーティ・シュプリーム』は射精責任の映画だった。なぜブレアの本にインパクトがあったのか分析する江原論文がめちゃくちゃ興味深かった。女性の自己決定権と男性に責任を2026/03/17

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