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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空のかなた
34
男の子の性欲、人の内面の見たくもないやさぐれ感、そしてそれでも残る純粋さを容赦なくあぶり出していくような短編集。過去15年の異質すぎる短編が一冊に。どれも全く読者の反応もなく売れなかったものだと。でも私は「学級崩壊」「未来都市シブーヤ」のこの2つが好きで、読後の衝撃を抱えたまま。ダーウィン事変はまだ読んでいないけれど、とてつもない才能?マグマ?人を見つめる目を持った方なんだろうと感服。手強いです。あとがきの、うめざわしゅん氏の呟くような文章を是非。2023/01/14
Vakira
25
愚息からこれ面白いよ、「この漫画が凄い」に選ばれてるよ。ってことで愚息から借りて読む。初、うめざわしゅん。成程。最近は漫画も侮れない純文学風ストーリー。中村文則とか窪美澄さんの「ふがいない僕は空を見た」の世界観。最初の短編はスタインベッグの「二十日鼠と人間」の様なキャラ設定。そしてレフン監督の映画「ブロンソン」の様な決して社会に屈しない若者観。群れない。しかしそれではこの世界では生きていけない。このキャラ設定に惹かれた。愚息のおかげで思わぬ収穫。親父の趣味を知って偉い偉いと愚息に感心する。2017/03/18
りらこ
24
うめざわしゅん氏の原点はこちらか。鬼才だ。ここまでアンダーな話を描きながら、実話なのか?と思わされるほど説得力があるのはなぜ。これを描いてから、ダーウィン事変への流れは、ソフト路線すぎやしないか。唯一者たち、が私的には響いた。苦しさは自分だけが負っているものだけど、苦しみを誰かに味わわせてしまった主人公のまた苦しみへのセリフはズシンとくる。やっぱり生きていくのってつらいことだ。2023/07/16
JACK
16
○ 鬼才うめざわしゅんの短編集。暴力、セックス、劣等感、人種差別など尖ったテーマの作品ばかりで、登場人物に共感しにくい話が多いため、評価が割れる本だと思います。作者もあとがきで書いていますが、各作品の発表当時は読者の反応もなく、全然評価されずに悩んだそうです。この手のサブカル系の短編集は評価してくれる人は絶賛し、受け付けない人は酷評するでしょう。私はどちらかというと後者。収録されている作品で気に入ったのは、過去の犯罪を後悔して悩み続ける青年と彼を程よい距離感で助ける女性を描く「唯一者たち」くらいかな。2022/01/01
読書好きの変人
12
サブカルの王道を行く尖った作品集。かなりアンダーで過激な世界だから共感こそ少ないものの、思春期青年期の鬱屈や抑圧されてきた者たちの怒り、苦しみ、呆れ、悲しみ、一周回って開き直った楽観や爽快感などで混沌としている。人の内面のドロドロとしたのを煮詰めたような短編集で、読後には言い知れぬ興奮があった。2024/05/19