内容説明
テレビで岩井志麻子を見るたび、私は姉である本間切美を思い出す。生前、姉は芸術家になりたかった。ネットではカルト的な人気があった姉だが、芸術家としては凡庸で素人目でも稚拙とわかる作品は、見る者を不快にさせ不気味で狂気に満ちあふれていた。そして願いは死をもって成就した。切断された姉の首は、彼女の住んでいたマンションの一室で、子供たちに人気のヒョウのぬいぐるみの首にくるまれて転がっていた。この猟奇的な殺され方は、なぜかQ国で起きた「ガオちゃん殺人事件」に酷似していた…。
著者等紹介
岩井志麻子[イワイシマコ]
1964年岡山県生まれ。高校在学中の82年、第三回小説ジュニア短編小説新人賞に佳作入選。少年小説家を経て、1999年『ぼっけえ、きょうてえ』が第六回日本ホラー小説大賞と第一三回山本周五郎賞を受賞。以降、『岡山女』(第一二四回直木賞候補)、『tr´ai c^ay』(第二回婦人公論文芸賞)、『自由戀愛』(第九回島清恋愛文学賞)など話題作を続々発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
134
岩井志麻子は、新作中心に読んでいる作家です。この表紙は何だと思いつつ読み始めました。先日読んだ『今日はヒョウ柄を着る日 』に続いてヒョウ柄繋がりでした。 https://33man.jp/img/mmm/docs/000/441/iwai_s.png 本書は、貧困女子岩井志麻子同化妄想小説です。気分が悪くなりたい時に、読むのが最適な厭な小説です(笑)2017/11/13
Yuna Ioki☆
26
1752-185-26 作家岩井志麻子自身をパロディにしてる?イマイチ。。。。2017/08/18
くさてる
24
読んでる途中でなんどか本を閉じて休憩した。怖い。気持ち悪い。生理的に辛い。なのに読み進めずにはいられない。これはどういう本なんだろう。岩井志麻子らしい自虐や楽屋落ち、悪夢のような架空の事件、隣にいてもおかしくないような身近な狂気と貧困の暴力、ネットの海に漂うフェイク、なんども入れ替わる信用できない語り手。稚拙なのかそれも計算なのか分からない入れ子のような構成。とりあえず筋の通った物語を求める人にはお勧めできないけれど、岩井志麻子は怖い。この表紙に騙されちゃダメだ。岩井志麻子は一級のホラー作家だよ。2017/08/05
うーちゃん
23
ヒョウのコスプレしてバラエティーに出てる、岩井志麻子って下品な作家いるでしょ?あの人、関わってるかもしれないんだよね、私の姉が惨殺されたあの事件に・・。という、しょっぱなからメタ炸裂の志麻子風イヤミス。残念ながら、このスタイルは最近では真梨さんの印象が強いので、新鮮さはさほど感じない。現実と虚構の境界がぼやけた世界で語られる物語も、まわりくどくわかりにくいばかりで興味が続かず。「ぼっけえ、きょうてえ」を代表とする岡山ホラーは大好きなので、またそちらを開拓してほしいなあ。2018/05/25
ひろろん
21
何度も読むのを止めたかったのだけれど、一度読み始めた本は最後まで読まなければならないみたいな自分の中の決まりがあって、くじけそうになりながらもなんとか読了。一言で言えば、回りくどい。良い方に解釈すれば、面白い手法とか、凝った仕掛け。よくもまあ、一つの事件と思しき事をこれだけ長々と書けるものだと感心。途中で実話?との錯覚に陥りそうだったが、もちろんそんなことはあるはずもなく、そう思わせるのはやっぱりすごい。はー、でも読んで疲れた。2018/08/10