出版社内容情報
ロックリー トーマス[ロックリー トーマス]
不二 淑子[フジ ヨシコ]
内容説明
一五八二年、本能寺。織田信長の側近のなかに、特異な容貌でひときわ眼を惹く男がいた。その男こそ、日本史上初とされる黒人侍、弥助だった。信長の切腹後、弥助は危険をかえりみず、嫡男の信忠のもとへと走る。彼を駆り立てたのは、自分を信頼し、侍へと取り立てた信長への忠義心だった―。国内のみならず海外でも注目を集める異色の黒人侍、弥助。その知られざる生い立ちから来日にいたる経緯、信長との出会いと寵愛、本能寺後の足取りまで、詳細に踏み込んだ歴史ノンフィクション。
目次
第1章 日本上陸と信長との謁見
第2章 弥助の経歴を紐解く
第3章 現代に伝わる弥助伝説
第4章 弥助が生きた時代
第5章 弥助はどこから来たのか
第6章 信長の死後の弥助
第7章 弥助の生涯を推測する
付録 第一章「日本上陸と信長との謁見」に関する補足史料
著者等紹介
ロックリー,トーマス[ロックリー,トーマス] [Lockley,Thomas]
日本大学法学部専任講師。研究分野は言語学習。担当教科は歴史で、特に国際的視野に立った日本史を扱う。イギリス出身、日本在住
不二淑子[フジヨシコ] 
翻訳家。早稲田大学第一文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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  感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kazi
38
          
            ハリウッドが「弥助」の映画化に動いていると聞いて、俄然興味を持ちました。その企画、誰が立ち上げたのか知らないけど天才やな・・!本著は織田信長に仕えた謎多き黒人のサムライ「弥助」の実像に迫る歴史ノンフィクション。彼は何処からやってきて、何処へ去っていったのだろうか?著者のロックリー・トーマスさんは「弥助」という題材にポテンシャルを感じたようです。相当な熱量を込めて書かれた本であることが伝わってきました。ほとんど資料が残っていない、弥助という人物に関してよくぞここまで・・。2021/02/03
          
        山口
23
          
            信長に約1年間小姓として仕えた黒人侍弥助が題材。第1章が来日してから本能寺の変までをフロイスの史料や信長公記などに登場する弥助をベースに小説風に、第7章に時代背景やヴァリニャーノが辿った航路や活動内容、弥助という名前などから彼の生い立ちや来日に至る経緯、本能寺の変以降の弥助について小説風に、第2章~第6章は推測した理由について描かれている。ちょっと無理矢理っぽい所もあったけど、興味深い内容ではあった。弥助、本能寺の変の時に本能寺に居たんだね。ちょっと感激です。「麒麟がくる」で登場しないかなぁ。2020/02/13
          
        浅香山三郎
15
          
            史料の中の弥助の歴史像の検討から始まつて、弥助のやうな人物が日本にやつてくる(連れられてくる)当時の時代状況を推定していく。ポルトガルの勢力拡大と、奴隷の広範囲な移動など、弥助を見ることが、この時期の世界のありやうを知ることに繫がつていく。また、弥助の漫画などにおける表象にも言及。著者は本来の歴史学の研究者ではなかつたやうだが、弥助への関心から、かなり関連史料を読み、これまで余り注目されて来なかつた論点を見出してゐる。2021/01/03
          
        Lila Eule
14
          
            ゲームで人気が出たとは驚く。ネットの文化の伝播力は凄いものだ。日本は人気があるとの自賛ネタかと思う事があるが、案外理解される時代になって来たらしい。16世紀の市井の人の思いがこめられたノンフィクションとの訳者の解説に得心。16世紀のグローバリズムの怒涛に生きた奴隷が能力と魅力で生き抜き、実力主義で登用の信長に出合って実力を見せ、忠義を果たし抜く。大きなスケールの物語だ。逆進出の佐々木讓の「獅子の城塞」を思いだす。そうそう、日本人も大勢海外に売られ、秀吉は買い戻そうとしたが、果たせず禁教したと何かで読んだ。2017/04/18
          
        ムカルナス
12
          
            黒人侍・弥助はエチオピアで奴隷として売られた後、インドでイエズス会に雇われたと著者は推測する。新大陸に売られた奴隷と違い、当時は開放されることもあり、その後に商人や軍人として出世することも出来たという。近代以降の日本では西洋の価値観でものを見がちだが、当時の人の眼には黒人の弥助はかっこよくて大人気だった。新しもの好きで実力本位主義の信長も気に入り重用したらしい。一方で光秀は「動物で何も知らず」と評したとのこと。光秀はやはり守旧派で新しいものを受け入れるタイプではなかったのかもしれない。2020/10/22
          
        

 
                 
                

 
               
               
               
              


