内容説明
3・11以降の新しい「自然哲学」は、哲学の自然を取り戻す試みであり、動植物の利害も含めた民主主義(まさに「どんぐりと民主主義」!)を目指す運動である。
目次
第1章 「原子力時代」から先史の哲学へ(グリーンアクティブともうひとつのインターナショナリズム;原発信仰と「贈与性」の抹消 ほか)
第2章 新しい自然哲学に向かって(原発に対置されるべき原理とは何か;ハイデッガーと東洋の賢人 ほか)
第3章 野生の科学と「不思議の環」(デモと花火大会;脱原発のロードマップ ほか)
第4章 どんぐりと民主主義(道路問題から民主主義を考える;自然との民主主義と非敵対的矛盾 ほか)
著者等紹介
中沢新一[ナカザワシンイチ]
1950年生まれ。明治大学野生の科学研究所所長
國分功一郎[コクブンコウイチロウ]
1974年生まれ。高崎経済大学経済学部准教授。専攻は哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Gokkey
16
議論があっちこっちに飛ぶためか纏まりを欠くような印象。小林秀雄と岡潔の対談の如く、それこそ弁証法を地で行くような高まりを期待しただけに残念。3.11から原子力の話、そしてイオニアのピュシス、ハイデガーの技術論など哲学史談義(とあえて書かせて頂く)が続いたと思えば、突然リアルな話になり、著者らが関わる小平の道路建設に反対する住民運動へ続く。単に自然を壊し、人間都合で何かを作る事のアンチテーゼとして浮かび上がるものは、ピュシスに現代の光を当てた影でしかないと思うが…2024/02/27
しゅん
16
原子力を「人間が太陽から独立するための希望」と語るのは言われれば当然という感なんだけど、無学な私にとっては目から鱗の観点だった。そこに、太陽エネルギーを「贈与」と捉え上で、「贈与」を「交換」に全て置き換えようとするグローバル経済の問題点の指摘を繋げていくところのドライブ感は非常に気持ちいい。アースダイビングな中沢さんの視座と國分さんの政治と哲学の接点を探り続ける姿勢が見事に重なっていて、読んでいて非常に実り多い対談。哲学ってどれから読めばいいの?という人はこれから読めば良いのではないだろうか。2018/02/11
*
15
【交換しない経済を、私達は忘れてしまった】バレンタインデーの先には必ずホワイトデーがあるように、都市では絶え間なく算盤を弾くクセがついてしまった。テクノロジーや働き方の革新によって「贈与と交換のいいとこ取り」を目指すような流れもあるが、一方で錬金術的な経済が正解という人々も増えている。対談では「競争のための競争」という言葉が出てきたが、スタートラインに立つ前に疲弊している人も多いはず。そうした人たちの肩凝りを「ほぐす」のが哲学なのではないだろうか。2018/12/20
魚京童!
14
現状の不自然2014/09/07
ベンアル
12
図書館で借りた本。福島第一原子力発電所事故後に哲学者の國分功一郎と自然哲学者の中沢新一の対談を本に纏めたもの。原子力発電は火力発電や水力発電と比べて安価だと言われているが、それは放射性廃棄物の処分費などを考慮しておらず、実際は高価である。なぜ原子力を推進するかというと、太陽に代わるエネルギーに人類が惹かれたからである。次は日本の大転換、原発のコストを読みたい。2024/04/06