内容説明
不公正な貿易を変えるために!コーヒーの経済研究の第一人者による画期的な業績!コーヒー好きの人はもちろん、南北問題や農業問題、フェアトレードに関心ある方々にも必読の一冊です。
目次
第1章 コーヒーのおいしさ―情報のおいしさと「キリマンジャロ」
第2章 「キリマンジャロ」の生産者たち―「顔の見える関係」のために
第3章 コーヒーのグローバル・フードシステム―生産国タンザニアから消費国日本まで
第4章 コーヒーの価格形成の不公正さ―生産者たちの不利な状況
第5章 ポスト構造調整とフェア・トレード―生産者たちの不利な状況の改善
第6章 キリマンジャロの農家経済経営―コーヒー危機とフェア・トレードの影響
第7章 日本のコーヒー産業の特質とフェア・トレード
第8章 コーヒー危機を超えて―国際価格上昇の影響
著者等紹介
辻村英之[ツジムラヒデユキ]
京都大学大学院農学研究科准教授(農業組織経営学専攻)。農学博士(農林経済学)。在タンザニア日本大使館専門調査員、金沢大学経済学部助教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
271
著者の辻村英之氏は、京都大学大学院農学研究科准教授(2009年当時)。農林経済学の専門家として毎年、タンザニアのルカニ村(キリマンジャロの麓)に通って定点観測を行いつつ、この地の農業(特にはコーヒー)の将来を村の人々とともに模索を続けている。この地はキリマンジャロ・コーヒーの産地だが、現地で農業者が手にするお金と消費地である、例えば日本の価格には大きな開きがある。そこで、考え出されたのがフェアトレードである。それが上手く機能すれば、村の人たちの生活が安定するばかりか、学校や医療機関の運営にも寄与する⇒ 2024/11/27
yearning for peace
4
世界の生産量からみるとそれほど高くないタンザニアの「キリマンジャロ」。そのルカニ村に焦点を当て、フードシステムという障壁の中で、生産者に対する救済策を見出そうと、フェアトレードの奨励と限界点などを挙げ、消費者への理解を促そうとしているように感じた。困難を極めるが、相互扶助という観点からいえば、生産者も高品質で適度な価格を目指す精神的な努力は必要で、消費者への依存体質から抜け出すことも肝要であろう。エネルギー問題も含め、食料の需給バランスが乱れることは何とか回避しなければならない。国の力は必要かも。2009/08/06
mimosa
2
生産者がコーヒーを生産しているのは 代々その土地で栽培を続けている家業として継承されているバックグラウンドや、情勢やその時々の流行りで価格が変動するということ 経済的に豊かでない国でコーヒーを作る以外仕事が選べないなどの背景 チームとしてのリーダーの仕事などが書かれてあり、生産、価格、出荷、販売のことなど タイトル通りでコーヒーの経済が網羅されていました。2018/09/26
Ryotaro
2
コーヒー経済の真実について書かれている。フェアトレードや過酷な労働環境。コーヒー企業の裏側などなど。コーヒー飲むなら読んだほうがいい。2010/12/01
あきら
1
発行が結構前だったから、細かいデータはいろいろ変わってはいるだろうけれど、きっと基本的な事はそれほど変わってはいないのだろう。フェアトレードという言葉は認知されているけれど、じゃあ身近にあるかというとそれはない。 缶コーヒーが安すぎるなとか、コーヒー店が増えているなとか、なぜと考えることは日常生活であまりないかもしれない。けれど、コーヒーを気軽に飲めることを、あたりまえに思ってはいけないのかもしれない。 読みやすく、わかりやすい本だった。増補版求む。2020/02/01