出版社内容情報
創作資料などを新たに収録した初の愛蔵版。
丘の上で弔いの鐘が鳴っている――。
アパアトメントに住む者達によって、Kという男の葬儀が執り行われる中、
新たな入居者ミカヤが訪れる。これから彼が住む部屋は、かつてのKの部屋だという。
夜毎見る悪夢をきっかけにKとその周辺に興味を持ったミカヤは、
奇妙な住人たちとの対話から、死の真相に迫っていく。
楠本まきの著作の中でも、最も耽美かつゴシックなミステリ作品を、
創作資料などを新たに収録した初の愛蔵版で刊行。
<収録内容>
・『螺旋』1992年
・『Kの葬列』1993年~1994年
・『Gの昇天』1994年
・『utero』1995年
・『intro.』1995年
・『Ity・・・?』1995年
・創作のための資料集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ますりん
1
弥生美術館で開催されている楠本まき展で、随所にこだわりが強烈で、画も見事過ぎるこの作品の原稿を見て数年ぶりに読み直し。今回は意識的に、ペラペラページをめくる感じではなく、画を隅々まで細かく堪能。スタイリッシュで、美しい、死の匂いの夢うつつの世界。私は「Gの昇天」という短編が昔から好きすぎます。永遠に届かない恋心のお話。2022/10/30
真霜
1
丘の上で弔いの鐘が鳴っているー。奇妙なアパアトメントの住人達。花に埋もれた空の棺。持ち主だった者の部屋にやってきた新たな入居者。葬儀の中心・Kの遺体をめぐって繰り広げられる死の真相とは。漫画という定形枠を逸脱した、デザイン性の強いコマ割りに白と黒の単一的ながらも、無限の奥行きを感じされる画面作りが目を惹きます。ひとつひとつは短いながらも不穏の足音は響き、そして結末へと。表題作に続く短編も全てが噛み合わさって、鮮やかな芸術作品を形作っています。物語は静かながらも針のような、鋭い痛みが刺さる感覚がしました。2022/03/27
わか
0
バイブル。内容ももちろんいいけど、それよりも絵画とか芸術を読んでいるという印象が強くて、隅々まで絵を見るための作品、2023/11/13