内容説明
老いは未知で、予期できない銀河系でありつづけるが、人生は依然として自分のもので、そしてそれは続いていく。その人生もまた輝いて美しい―桂冠詩人が綴った、“今”を自分らしく生きていくための言葉たち。
目次
窓辺から
80を過ぎた詩人のエッセイ
奇妙なくらいに楽しい一本の道を行く
朗読会での「サンキュー、サンキュー」
わたしがはやした三度のヒゲ
みんな煙草を喫っていた
ワシントンD.C.の雪男
運動オンチのエクササイズ
博士と呼ばれたって
死について2、3思うこと
採用と不採用の狭間で
ドアのない家
著者等紹介
ホール,ドナルド[ホール,ドナルド] [Hall,Donald]
1928年9月20日‐2018年6月23日。アメリカの詩人、作家、編集者、文芸評論家。児童文学、伝記、回想録、エッセイなど、22の詩集を含む50冊以上の著作がある。フィリップス・エクセター・アカデミー、ハーバード、オックスフォードを卒業。2006年、米国議会図書館の第14代桂冠詩人コンサルタントに任命される。1980年にコールデコット賞を受賞した絵本『にぐるまひいて』(ほるぷ出版)の原作者でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
79
図書館の新刊案内で気になって読んでみた。詩人の80歳を過ぎた頃のエッセイ。著者の詩は読んだことはないが、80年以上生きてきた人生が淡々と語られる。老いることは喪失の儀式だという。自分の身体もいうことがきかなくなり、周りの知人や大切な人もいなくなる。それでも、世間では覚えていないような記憶はあるのだ。髭だって、煙草だって、自分の人生とともに様々な歴史を辿ってきた。それはそれで貴重な記憶。自分の身体の一部分。この世から消えてなくなるまで自分を大切にしたい。2022/04/28
R
43
散文めいたエッセーを集めた本で、タイトルはその中で印象的だった一言を切り取っただけの、そういう目的で書かれた遺書や遺作めいたものではないと思われる。とはいえ、著者のこれまでの道程と、その中で培われた思考や言葉は興味深く、詩人という生き方そのものを現しているように感じた。山頭火とか啄木とかの逸話に近いというか、自分への我が儘にすぎる愛が強くて、それを肯定してしまう、されて当然という人となりが興味深いと思った。だからこそ詩人であり、尊敬されるというものなんだろうか。2022/05/04
のんぴ
36
詩にあまり興味がないせいか、ぴんとこないところも多かったが、著者の人生は羨ましいと思う。死ぬより老いる方が怖かった著者も、今では亡くなり、ほっと胸を撫で下ろしていることでしょう。人生を大いに謳歌し、才能を発揮し、周りの人にも恵まれ、これ以上の人生があるでしょうか?2022/04/09
Roko
32
歳を取れば身体は思うように動かないし、痛いところもあるけど、それなりに楽しく暮らしていけるとホール氏は語っています。詩はもう書けないけれど散文くらいなら書けるなんておっしゃいますけど、いやいや、どれも素晴らしい文章です。原稿は口述筆記でタイプしてもらうし、食料や本などは届けてもらい、筋力トレーニングのトレーナーは家まで来てくれます。歩行機があれば家の中を歩くのに不自由はないし、毎日誰かが来て暮らしを支えてくれるから、80過ぎのひとり暮らしも悪いものじゃないって感じに溢れています。#NetGallayJP2022/02/07
くさてる
28
桂冠詩人にも選出された高名なアメリカの詩人によるエッセイ集。ユーモアも美しさも諦念もあって、読んでいて心地が良かった。とりあえずオバマ大統領に会ったときの写真をググって納得しました。老いることの入り口を感じながら、まだそこには行ってないと思う自分にとっても良い一冊だと思いました。2022/04/30




