出版社内容情報
"脱北"―― 金正日政権の恐怖の暮らしから逃げた少女パク・ヨンミ、自由を手にするための「選択」そして「闘い」の物語。
内容説明
北朝鮮では、死体が放置される道を学校に通い、野草や昆虫を食べて空腹を満たし、“親愛なる指導者”は心が読めて、悪いことを考えるだけで罰せられると信じて生きてきた。鴨緑江を渡って脱北した中国では、人身売買業者によって囚われの身になり、逃れてきた場所以上に野蛮で無秩序な世界を生き抜かなければならなかった―。「脱北したとき、私は“自由”という意味すら知らなかった」―およそ考えうる最悪の状況を生き延びた少女は、世界に向けて声を上げはじめた。
目次
第1部 北朝鮮(鳥やネズミが聞いている;危険な歴史;ツバメとカササギ ほか)
第2部 中国(闇の向こう側;悪魔との取引;誕生日プレゼント ほか)
第3部 韓国(自由の鳥;夢と悪夢;貪欲な心 ほか)
著者等紹介
パクヨンミ[パクヨンミ]
1993年、北朝鮮・恵山生まれ。13歳で中国に渡り、15歳で韓国に入国した。2012年、ソウルの東国大学に入学。在学中に自らの体験について英語でスピーチしたことをきっかけに人権啓発活動を開始し、現在は韓国・ソウルを拠点に世界を飛び回る日々を送っている
満園真木[ミツゾノマキ]
翻訳家。青山学院大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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茜
100
彼女のスピーチをYoutubeで見て興味を持ったので読みました。日本人でも色々な人が北朝鮮の平壌に行って動画を上げていますが、平壌というのは北朝鮮内ではあっても特別な地域らしく本当の北朝鮮の内情はまた別という事もわかりました。彼女が経験した北朝鮮での暮らし、脱北してからの中国での出来事、モンゴルまでの道程、そしてやっと韓国に入国してからの2年間の事は壮絶でした。自由という意味の深さを感じるともに「洗脳」の怖さを感じました。2021/05/09
Shintaro
91
事実は小説よりも奇なり。生きるために脱北を余儀なくされたヨンミの生き様に圧倒されました。それでも父が健在だった頃は救いがあった。生活のため闇商売に手を染めて父が逮捕され、家族、親戚一同の出身成分が転落した時点で、ヨンミ一家は生活のすべが失われる。ヨンミが頼れるのは自分の頭の良さ、顔の良さ、そして運の良さしかない。中国での壮絶なサバイバル生活と脱出行。こんなことでは、ドイツのように吸収合併されるか、国民総脱北しか生きるすべがないではないか。全国民を粛清し、国民が一人もいなくなった時、金正恩は何を思うのか。2016/06/19
ゆみねこ
75
13歳で祖国を離れざるをえなかった、パク・ヨンミさん。必死に川を渡り中国に逃れ筆舌に尽くせないほどの苦労をする。やがてモンゴルを経て韓国へ。彼女のように辛い思いをしている脱北者たちが一日も早く安寧な毎日が送れるようになることを祈りたい。2016/07/11
ナミのママ
67
よくぞ生き抜いた、そして語ってくれてありがとう、と言いたい。悲惨な生活、諸国の様子についての感想は山ほどあります。でもそれより今、私は、北朝鮮についてもっと知りたい思いでいっぱいです。彼女のような国民の立場はもちろん、国に使える人、国を動かしている人、そして国の様子・・町も田舎も。かつて精神障害者やらい病患者など、『知らない』が故に怖がられ、差別、攻撃されたものがたくさんあります。核問題、人道的問題など現在の「私」の常識からは考えられない事ばかり、それでも頭を白にし、感情は横に置き、まずこの国を知りたい。2016/04/08
おかむら
59
脱北者の手記を初めて読みましたが、すごい衝撃! 著者は1993年生まれ(ウチの娘より若い!)。北朝鮮→中国→韓国の3部構成。どのパートも知られざることばかりで、いまのこの現代社会で本当に起こってることなのか?と驚愕。北朝鮮の人権侵害と洗脳の凄まじさ! 文章が手記レベルを超えてて上手いし読みやすいのもすごいことです(原著は英語!)。マララさんといいヨンミさんといい世界にはすごい女子がいるな!2016/07/17