内容説明
改革開放政策以来拡大発展する中国の工業化と都市化。しかし用地の一部は、農民が先祖代々丹精をこめてきた優良田を不法にむしり取ったものだ。地方政府は権力で収用し、それを企業に転売して、補償金の数倍、数十倍に当る利益を手にし、さらに開発業者がその間に暗躍して土地転がしで甘い汁を吸う。数年間の生活費にしか当らない補償金と引き換えに土地を奪われる農民たちは、これからどうやって生きてゆけよう。この死活問題が農民たちを官との闘いに立ち上らせた。江南57カ村、延べ900名の農民のなまの声で綴った調査記録。
目次
第1章 民主運動の相呼応する竜令鎮の村々(石地村で第一回調査を試みる;土地を護り抜いた銀秀村の成功の条件 ほか)
第2章 城関鎮で暴露された腐敗の数々(横澤村の土地代金の危機;西里村の土地喪失の背後 ほか)
第3章 城関鎮における土地収用の常套手段(天馬村の手付け金で収用するという創意工夫;牛渓村の心理戦の効果 ほか)
第4章 青湖鎮における上訪・上訴の協同態勢(「留地自耕」のアピール;坎首村による北京上訪の影響 ほか)
第5章 その他の郷村における権益獲得闘争の紆余曲折(良口村における工場誘致の困惑;低墻村における土地補償費差し押さえの闇 ほか)
著者等紹介
王国林[ワンクオリン]
1956年生まれ、杭州大学古典文献学専攻、文学碩士。現在、浙江林学院勤務
谷川道雄[タニガワミチオ]
1925年生まれ、京都大学文学部卒業。京都大学名誉教授、河合文化教育研究所主任研究員
中田和宏[ナカタカズヒロ]
1971年生まれ、龍谷大学博士後期課程単位取得依願退学。現在、太成学院大学高等学校教諭
田村俊郎[タムラトシロウ]
1971年生まれ、龍谷大学博士後期課程単位取得依願退学。現在、龍谷大学仏教文化研究所研究員、花園高等学校非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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