感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
7
修学旅行用電車は、国鉄の一般予算や債務で購入するのではなく、「利用債」という非公募型の債券で購入してたという。修学旅行のニーズと国鉄の車両購入にマッチしたシステムのようだ。また、機器としては153系を踏襲しているが、コスト削減のためにエアサスの153系と異なりコイルバネの台車となっている。万博閉幕後時間有効活用のため修学旅行でも新幹線利用が進み、修学旅行用電車はアコモ改造の上臨時急行用等に転用されたが車内には随所に修学旅行用時代の名残が見られたようだ。事故廃車もなく153系よりも早く全車廃車解体された。2022/01/19
えすてい
6
155系・159系はベースとなった153系よりも先に運用を終了し全て廃車解体された。153系もJRには継承されずに、晩年は相当老朽化が酷かったが、晩年でも直流幹線で普通列車などで使われた。155系・159系はいくら153系がベースでコスト削減のためにコイルバネ台車を採用したとはいえ、数が少ないので、維持するコストがどうしても高くついていまう。それに153系と異なり冷房化されなかった。国鉄でも直流幹線は冷房化の時代。非冷房車はサービス低下でしかない。役目を終えて消えるべくして消えたのだ。2023/10/23
えすてい
4
少数派かつ初期の新性能車ゆえに早々と廃車された155・159系は、国鉄形車両で数多ある「東海顔」の中でも特異だ。全車低屋根方式ゆえに東海顔独特の屋根の膨らみが抑えられ、「つぶされた」顔にも見える。しかし、これは中央線の小断面トンネルへの入線も考慮されているので「汎用性」は高かった。機器面では台車以外は153系と同じで、修学旅行のオフシーズンは臨時列車でも使用、上越線や成田線に入線している。他社の別の本で中央西線で使われる写真を見たことがあるが低屋根を想定した中央東線入線はこの本には記述なし。なかったのか?2025/02/24
えすてい
4
高度成長期になっていき団塊世代の修学旅行需要が一気に増大した時期。いくら経済が上向きで好調でも、車両を新造するには高いカネがかかる。だからといって修学旅行生のためにといえども質を落とすことは許されない。そこは東海形(→153系)とは多少開発精神が異なるようだ。コスト低減のためにコイルバネ台車にした。それでも大半は東海形と性能を統一化し、オフシーズンや修学旅行用途を失った後は湘南色化とアコモ改造153系・165系との併結による急行輸送。もとより小所帯で全車解体されたが日本の大量輸送史として貴重な記録の一冊。2023/07/28
やまほら
1
両数も変化も少ない修学旅行電車2系列をまとめた1冊。最近の著者の作品と同じく、関係者への聞き取りを踏まえて、資料だけからは知りえないことも盛り込まれている。全学連が占拠した品川駅に到着した修学旅行電車から降りた生徒を、学生たちが拍手で迎えたというのは良い話。修学旅行以外の使用例について、もう少し詳しく書いてほしかったかな。2021/12/04