出版社内容情報
名取 紀之[ナトリ ノリユキ]
著・文・その他
目次
風伝峠を越えて
閉山目前の紀州鉱山
紀州鉱山の盛衰
板屋駅
小口谷駅
湯ノ口駅
惣房駅
架空線式電気機関車
蓄電池式電気機関車
客車(人車)
貨車(鉱車)
その後の紀州鉱山
紀州鉱山と専用軌道の歩み
喫茶「すずらん」にて―あとがきにかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
5
表舞台に出ることのない、趣味的に顧みられることもない鉱山鉄道。だからその記録は少ないし、鉱山の運営会社が鉱山経営から手を引くと忘れ去られるのが運命。アマチュアの記録を商業出版する度胸のあるネコ・パブリッシングである。RMライブラリーでしかできないな、こういう企画は。2020/02/15
えすてい
3
YouTubeやWikipediaで「特定目的鉄道」や観光地のトロッコなどの画像や記事をいろいろと見ながらページをめくる。現在の湯ノ口温泉トロッコは「特定目的鉄道」の認可を受けてはいないと思うが、かつての紀州鉱山専用軌道が現在も残されていることは意義があると思う。先日中日新聞夕刊で湯ノ口温泉ツアー募集(6月2日実施)が写真付きが載ってた。この温泉トロッコも末永く運転されてほしいものである。2018/06/24
えすてい
2
客車は木製の超小型車体に直接取り付けられたバネのない車輪で乗り心地は筆舌に尽くしがたく、窓ガラスもない無双窓で室内灯もない。電気機関車と客車は鎖でつないだだけで客車にブレーキはない。電気機関車のローラー式パンタグラフからはスパークが飛び散り、時速は10キロほど。ブレーキはハンドブレーキのみ。そんな列車が長大トンネル内では轟音を轟かせながら揺れに揺れまくりレールの歪みや凸凹は客車にダイレクトに響き、客車の乗客は一体どんな心境だったのだろう。現代の半導体部品を駆使した電車からは決して想像もできないのだろう。2017/05/29
おおかわ
1
鉱山を走る軌道に着目してここまで事細かに書いてある本も少ないと思う。一度親に連れていかれた場所だが、ここまで興味深い場所だとは思わなかった。鉱山での採鉱から選鉱設備までの輸送までの流れがよくわかり、勉強になった1冊。2021/03/14
えすてい
1
読めば読むほど味が出てくる鉄道で興味が尽きない。鉱山鉄道だから日本ではもう見られないから余計にその独特の構造や設計の車両を本書で食い入るように見入ってしまう。素晴らしい題材を取り上げてくれたRMライブラリーに感謝。欲を言うと、閉山後の湯ノ口温泉トロッコについてもう少し言及・写真掲載してほしかった。折角紀州鉱山の軌道が「現役」で使われてるのだから。2017/06/08