出版社内容情報
三越のライオン見つけられなくて悲しいだった 悲しいだった
第23回歌壇賞受賞作家の第1歌集。帯・水原紫苑。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カフカ
47
とくに心に残った歌。 「甘やかしてゆけばいいのに運命はきみには時計としてあらわれる」 「熱砂のなかにボタンを拾う アンコールがあればあなたは二度生きられる」2023/10/24
おおにし
21
Podcastでサンキュー・タツオがあとがきが名文だと褒めていた歌集。短歌の良さは私には今一つ分からないのだが、500文字程度のあとがきから歌人として生きる平岡さんの姿がくっきりと浮かんでくる素晴らしい文章だと思う。平岡さんの随筆が出たらぜひ読んでみたい。2024/04/05
だいだい(橙)
21
短歌に出会った2021年に出た歌集で、当時はめっちゃ話題になっていた。有名なのは「悲しいだった 悲しいだった」の三越ライオンの歌だろう。他にも様々な場所で引用されている歌がある。作者が優れた歌人であることはおそらく疑いがないのだろうが、歌集として「こんな本だった」と言いづらい。もちろん刺さる歌、好きな歌は複数あるのだけど、おそらく時々出てくる「君」以外、具体的な生活のにおいを感じる部分が少ないこと、また意味がよくわからない歌がしばしばあるので、疑問符だらけになるのだ。それが作者の狙いなのかもしれないが。2023/09/30
あや
20
去年の4月に刊行された平岡直子さんの歌集の帯には水原紫苑さんが「事件」だとご表現されている。読むのにとても時間がかかりましたが途中から読むスピードが加速されました。散文詩をしなやかに定型に収めたと思いつつ、ほの見えるお父様との言い知れぬ葛藤が底流にあって短歌という詩形と出会うことによって羽撃くことができたのではないかと拝察致します。私はファザコンなので平岡さんのご苦労はいかばかりかと感じます。2022/02/25
スイ
15
「三越のライオン見つけられなくて悲しいだった 悲しいだった」 私にとっては、ものすごく集中力の要る歌集だった。 散文を読むよりずっと強く集中しないと、言葉と言葉の隙間に落ちてしまう。 それは疲れることではあるのだけど、それ以上に次は何が来るのかとわくわくする時間でもあった。 「魂に沿わないからだの輪郭をよろこびとしてコーンフレーク」 「飛車と飛車だけで戦いたいきみと風に吹かれるみじかい滑走路」 「ベビーカーにいちばん怖いもの乗せて一緒に沼を見に行きたいね」 いいな。いいな。2022/08/16