感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
4
世を去った人たちとのこと、ふるさとの水俣をはじめとする熊本や九州の各地について、年を取ってゆく母とのこと、教員の傍ら社会人院生として教え・学ぶ日々など、50代ならではの味わいのある歌たちをおさめた第5歌集。「女性差別なき世を願ふ女子大のうそうそどきの桜は不気味」「わかるとはたぶんわからなくなることと箱崎キャンパスの麺をすすりぬ」「堰をきり話しはじめる母を置きさすらふわれは何処の舟か」「嘘といふ嘘ではないが推薦書は描くに似たり少しふくらむ」「花の名を一つ忘れて眠れない母の電話にひらく歳時記」2023/01/16
lonely_jean
0
水俣病の、としか水俣のことを知らないが、そこが故郷の人もいる。当たり前のことに気づき、申し訳なくなった。それ以前までは穏やかな海辺の町だったのだろう。それ以降、他の地域の人にとっては、それだけの町、になってしまうとは…公害の恐ろしさを思い知る。短歌の形でも、それはしっかりと伝わる。2022/02/01