目次
1 (この十月に;海老一染太郎 ほか)
2 (ゴジラの咽喉;海で死んでも ほか)
3 (短さ;よお ほか)
4 (けけけけ;霧雨 ほか)
5 (緋色のカップ;窓の外 ほか)
著者等紹介
染野太朗[ソメノタロウ]
1977年茨城県生まれ。埼玉県に育つ。1995年「まひる野」入会。2004年より私立中高一貫校勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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太田青磁
10
さびしさを押しつけたから君はもう静かな海をぼくに見せない・解答をあきらめた順に生徒らは机に伏して航海に出る・カーテンの春のひかりの添う朝はじめて見たり君の歯みがき・長くながくひこうき雲の引かるるを二足歩行は見上げていたり・花冷えの千鳥ヶ淵を 責めることだけがあなたに近寄る方途・八月の阿蘇中岳の火口へと振りかぶって投げ込む抗鬱剤・死にたいと何度も叫ぶ 医師を妻をカウンセラーを教頭を責める・休職を告げれば島田修三は「見ろ、見て詠え」低く励ます・ストローの白い袋を栞とし中村文則『掏摸』を読みたり2016/05/11
はち
5
再読。今回は「私」と生徒の関係を中心に読み返した。そう見ると「私」の精神病(おそらく鬱ではないだろうか)というのはあまり見えず、思春期特有の悩みを持つ子供を見る先生の姿が見えてくる。2015/04/22
はち
5
タイトルからして震災を扱ったものかと思うと、いろんな意味で足元をすくわれる。教師であり、心を病んだ歌人の歌集である。職業詠も素敵だし、病気を描いたものは読んでいてきつかった。あとがきもないので時系列順なのかどうかはわからないが、おそらく最後にはある程度回復したのであろう。時事詠も好き。何年か経っている歌たちだが、古臭くなっていない。2015/02/09
おとむらい
0
第二歌集から読んだために、怖いな〜って思っていましたが、第一歌集は「鬱王子」とだけあって暗さがありますね、恐怖はまだないです。現実の歌の中に唐突に入ってくる異物は幻想、幻影というよりはマジックリアリズムな感じがして、凄み…生々しいんですよね。そしてとても謎、強い謎がぼくのなずきに痕を残した。2022/08/22




