内容説明
水の主ヴォドニークに仕えることになったむすめ。つぼの中は、決してのぞいてはいけないと言いつけられましたが、ある日…。
著者等紹介
まきあつこ[マキアツコ]
1971年、東京都生まれ。日本女子大学家政学部児童学科卒業。チェコ共和国のカレル大学哲学部文学科に研究生として留学。帰国後、チェコの子どもの本の翻訳者である関沢明子さん宅での翻訳会で学ぶ。チェコ及びスロヴァキアの挿絵画家とのコーディネートや、ドキュメンタリー番組映像の翻訳、チェコの絵本原画展や美術展のための翻訳などに携わる
降矢なな[フリヤナナ]
1961年、東京都生まれ。スロヴァキア共和国ブラチスラヴァ美術大学で石版画を学ぶ。スロヴァキア共和国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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旅するランナー
251
降谷なな絵本原画展@MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店にて。チェコアニメが好きです。クルテックやアマールカのファンです。カッパも出てきたりするんですけど、ちょっと迷惑な奴が多いです。この絵本のカッパ(と言えるのかな?)も悪い奴です。チェコの昔話らしく、結構怖い話でもあります。美しく不可思議な絵に惹き付けられます。2021/07/19
fwhd8325
99
チェコのむかしばなしです。むかしばなしには語り継がれた伝説のような背景があります。少し怖い物語だと思いながら読みました。水の王は、怖い面と優しい一面があります。そこに語り継がれる物語の教訓が集約されるのだと思います。2021/06/19
seacalf
98
幼い頃に読んでいたらきっと一生忘れない。それくらい降矢ななさんの描くヴォドニークの館が印象的だった。世界のむかしばなし絵本シリーズももう4作目。今回はチェコ、この地域で語り継がれる水の魔物ヴォドニークにまつわるお話。日本の河童と同じと思うが、こちらは同じ緑色でも燕尾服だ。ひもじさに川に身を投げた女の子がヴォドニークにつかまり、館で美味しい食事を振る舞って貰ってから彼に仕えることなる。箒で履いたごみが金の粒にかわる不思議な館の広間にはたくさんの壺があって・・・。不気味さと救いが渾然一体となって心に残る絵本。2022/09/03
アキ
92
ヴォドニークは川に住む緑色の水辺の主。貧しい娘が川に身を投げようとするのを水の館に連れてゆきました。館で仕えていましたが、禁じられていたつぼのふたを開けると捉えられていた弟のたましいが自由になりました。娘は元の世界に戻ることを決意し、つぼに閉じ込められていたたくさんの魂を解放し自分も水の世界から岸辺に辿り着いた。その後兄弟たちと幸せに暮らしました。ヴォドVodはチェコ語で水のこと。スロヴァキアに住んでいた頃から降矢ななさんはこの河童のようなもののけの絵本を描きたかったそうです。ボヘミア地方のやさしい民話。2021/05/01
とよぽん
73
チェコの昔話。あちらにもカッパのような妖怪がいるのか、ヴォドニークは水の魔物。緑色の身体に燕尾服、長髪。降矢ななさんはスロヴァキアに留学していた。中・東欧の昔話に挿絵を描いたことをきっかけに、このヴォドニークの絵本をいつか描きたいと思い続けていたのだそう。貧しい家の少女が昔話の主人公になるのは、どこの国にも共通しているのだろうか。水の世界の絵が怪しい美しさだった。2021/07/08