内容説明
森からはこばれた、たくさんのモミの木は、クリスマスツリーになって、町のひろばや、いえにかざられます。クリスマスイヴ、すてられかけていたちいさなモミの木を手にしたのは、まずしい男の子でした。いつしかモミの木と男の子を中心に、人々の輪がひろがって…。そして、すてきなクリスマスがやってきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
emi
47
クリスマスを過ぎて読んでもいいですね。ちいさなモミの木、なかなか波乱の生活だけど、考えたらモミの木は自分で何かを選べません。流されるしかない生き方だから幸運か不運かは全くわからない。だから、モミの木に関わる人のふるまいが際立って見える絵本でもあるなぁと感じます。もしも、クリスマスイヴなのに皆がモミの木に無関心だったらこのラストはないだろうと思うんですよね。奇跡というのは、願うものというよりも、周りに目を向けて行動するから起こるものなのかもしれないな、と感じたクリスマス絵本でした。2017/01/30
ぼんくら
37
少し、まがって育ってしまった樅の木。売れ残ってホームレスの少年にもらわれたその木は、橋の下ですてきなクリスマスを過ごし、公園に植えられる。大きくなった樅の木は「こんなふうになるとはねえ・・・」とつぶやいた。これもひとつのクリスマスの奇跡。2015/12/10
いろ
22
傾いて上手く育てなかった小さなモミの木が,貧しい男の子と出会い…クリスマスの素敵なお話~だけにとどまらず,その後…も嬉しい。表紙からイメージするお話とはちょっと違ったけど。男の子が1人暮らしのホームレスだったり,おじさんが公園の隅に勝手に…など,ツッコミどころはあるんだけど,そんな部分につまづかずに読める方がいいのかも。心温まる場面がいくつもあるから。9歳男児は理由は言わないけど「好き。」らしく何度も繰り返し読んでいた。絵も細やかで華があり綺麗。2017/12/26
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
12
森で育つモミの木たちは、クリスマスには立派なツリーになって飾られるというのに、きちんと植えられずひょろひょろで小さいままのモミの木は、捨てられそうになっています。そこへ男の子が来てモミの木はもらってもらえましたが、男の子は貧しく路上暮らし。少しのお金でモミの木を飾ると、そこには人の輪ができました…。モミの木は幸せになりますが、男の子とという結末ではなく、読者が男の子の行く末を想像できるようになっています。2021/01/22
ヒラP@ehon.gohon
12
大きなもみの木にからまって、十分に成長できなかった可愛そうなもみの木が、クリスマスの出来事で公園にのびのびと根をはる大樹となることが出来ました。 偶然の積み重なりが起こした奇跡が素晴らしいと感じます。 でも、このもみの木にチャンスをくれた男の子は、ストリートチャイルドでした。もみの木に素晴らしいプレゼントをしながら、どこかへ移っていってしまいます。 本当はこの少年が幸せをつかんでくれることが、このもみの木にとって一番の喜びのように思えるのですが。2017/10/27