内容説明
今から約140年前、写真もビデオもなかった時代に、馬が躍動する瞬間をとらえて絵にしたコールデコット。今日の絵本の原型―絵と言葉が連動して物語が展開する―を作り出したのも彼だといわれている。センダックやポスターなど、多くの絵本作家たちに影響を与えた彼の生涯をつづった一冊。絵本を愛するすべての人に。
著者等紹介
マーカス,レナード・S.[マーカス,レナードS.] [Marcus,Leonard S.]
アメリカ児童文学研究家。イエール大学卒業後、アイオワ大学大学院で詩を学ぶ。ニューヨーク、ブルックリン在住
灰島かり[ハイジマカリ]
国際基督教大学卒。英国のローハンプトン大学院で児童文学を学ぶ。コピーライターを経て現在は、児童文学の翻訳および研究にたずさわっている。東京純心大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
116
これは絵本かと思いましたら、絵本を書いた作家の伝記なのですね。子供用とばかり思いましたが大人用の本でした。当時の様々なほかの作家の絵なども収められていて楽しいものです。このような絵本作家がいたことを改めて知らせてくれたこの本に関社いたい気がします。大人の本にしてはかわいらしいのですが手元に置きたい1冊です。2016/10/23
帽子を編みます
47
コールデコット賞、合衆国でもっともすぐれた絵本に与えられる賞です。あのメダル付きの絵本、見たことありますね。コールデコットの伝記です。随所にイラストやスケッチが散りばめられ、どれも動きがありユーモアも感じられます。疾走する馬、犬、人、左ページと右ページへの目の動き、ページをめくると出てくる驚き、今でも絵本で使われるテクニックです、先駆者、革新者だったのです。彼の生涯が当時の出版界の状況とともに語られます。ウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイとも交流があって、全て好きな画家、知ると嬉しくなります。2024/07/04
花林糖
22
(図書館本)コールデコット賞で名前だけは知っていた、ランドルフ・コールデコットの生涯を綴った絵本サイズの本。図書館で偶然出会い即借りて惚れて購入。未発表のスケッチブック(最後のスケッチブックからも有り)からの絵、ラフ画や粘土で作られた猫の像、手彩色のテラコッタの浅浮き彫りの絵などコールデコットの絵を堪能出来ました。ただ絵本や画集ではないのでサイズが小さめなのが残念。紙質が良いので満足度アップでした。表裏見返しの絵にうっとり。コールデコット本が入手し辛いのが悲しい。(購入)2016/06/01
遠い日
19
コールデコット賞を受賞した絵本作品は、何冊も読んでいるのに、コールデコットその人自身を知らなかったことに今さらながら思い至る。絵本作家となるまでの変わった経歴と熱意。工夫を重ねた絵の変化。偶然か必然か、活躍するに値する時代とのマッチング。わずか40年で生涯を閉じるまでの人生は「疾走する画家」というにふさわしい輝きを放つ。紹介されたコールデコットの絵はまさに、わたしの好みそのもの。ビアトリクス・ポターに与えた影響なども本当に興味深い。2016/06/26
どら母 学校図書館を考える
11
「コールデコット賞」知ってるけれど、その元になった画家を知らなかった。時代と人があいまって、出来上がった画家。たった40歳で、旅先のアメリカで亡くなったなんて…。 ポターやセンダックにも多大な影響を与えたのか。産業革命の渦中のイギリスの様子も興味深い。ターナーの絵について、ちょっと触れられていたが、あたりまえだけど、当時のターナーは最新の表現者だったわけよね。 もうひとつの絵本賞のケイト・グリーナウェイとも親しく交わっていたことも興味深かった。2016/09/18