内容説明
「『にっき』ってなに?」「起こったことを書いておくんだよ。でも、ひいじいちゃんは、読むことも書くこともできなかった。だからマッチ箱にその日の思い出を入れることにしたのさ。」イタリアで生まれた少年は、やがて移民として家族でアメリカにわたる。父との再会、仕事を求めアメリカを転々とし、働きに働いた思い出。やがて家族の希望を背負って学校へ行き…。マッチ箱の日記をひもときながら、ひいじいちゃんがひ孫に半生を語ります。
著者等紹介
フライシュマン,ポール[フライシュマン,ポール] [Fleischman,Paul]
1952年米国カリフォルニア州生まれ。著名な児童文学作家シド・フライシュマンの息子で、幼少時より物語に親しみ、父と同様に児童文学の執筆をはじめる。1988年に出版した詩集“Joyful Noise:Poems for Two Voices”でニューベリー賞を受賞
イバトゥーリン,バグラム[イバトゥーリン,バグラム] [Ibatoulline,Bagram]
ロシア生まれ。米国ペンシルベニア州在住。イラストレーター。ケイト・ディカミロとのコンビで絵本を多数出版している
島式子[シマノリコ]
甲南女子大学で、英語圏の児童文学を教える
島玲子[シマリョウコ]
1999年~2001年イギリスに滞在。現在は英語講師として市民講座、大学で教えている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
209
ある日、ナポリで拾った空のマッチ箱。その中には今、沢山の思い出が詰まっている。言葉では記せない大切な一粒のオリーブの種。これを手に取ると浮かんでくる母親の姿。辛かった日々、父親との再会。あの耐えた荒波と向日葵の種。…おじいちゃん、この箱は空っぽだよ。その箱にも理由があるんだ。今となってはいい思い出さ。…小さな箱を微かな灯りが照らし、懐かしさで包んでくれる。一本のマッチを擦ると、私も懐かしい記憶が甦る。祖父母と過ごした冬休み。温まる食事。大切なものは心の中にいつまでも眠っている。箱を開ければまた会えるから。2021/11/06
匠
198
ライターの普及でマッチをあまり見かけない現在だけど、小さな箱ってすごく惹かれる。やや厚みのあるこの絵本、絵が素晴らしく写実的で映画を観ているような感覚があった。イタリア移民で読み書きの出来ないままアメリカで苦労しながら大人になっていった曽祖父が、ひ孫に見せるマッチ箱の日記。とはいっても、それは文字で綴らない日記であり、箱の中に思い出がひとつひとつ保管されているのを見て、なんだかじわっときてしまった。こういう日記も良いものだな・・ちょっと真似してみたくなる。2014/07/12
KAZOO
158
いい感じの絵だと思いました。イタリアからアメリカに来た少年がマッチ箱に思い出の品物を詰めて残していってそれが日記という効果を発揮しています。ひい爺さんが小さな子供に語って聞かせていく中でのその生活などの足跡がよくわかります。いい話といい絵でした。2016/07/29
masa@レビューお休み中
142
マッチ箱日記…と聞いても、どんな日記かは想像できない。もしかしたら、マッチ箱のように小さな日記帳に書かれた日記なのかと思ったが、そうではなかった。それは、マッチ箱の中に入った思い出のことだった。「日記ってなに?」と聞く、ひ孫にひいおじいちゃんは、幼き日に集めたマッチ箱日記のことを話しはじめます。たくさんあるマッチ箱の中には、オリーブの種や魚の骨、船で拾ったヘアピンなどが入っているのです。思い出を形に残すことができるなんていいですね。そんな宝箱のようなマッチ箱なら、僕も集めてみたいなと思ってしまいました。2014/02/03
gtn
112
ひ孫はひいおじいいちゃんの来し方に触れることができた。おそらく生涯忘れないだろう。私も離れに住んでいた曽祖父を思い出す。部屋に将棋盤があったので、やり方教えてと言うと、曽祖父が真に受けた。しかし、活舌が悪く、回りくどくさっぱり飲み込めない。でも「ああそうか」「へえそうなんや」と六歳の私は忖度した。曽祖父はうれしそうに笑った。2019/10/01