内容説明
おさないころにいだいた純粋な恋心が、やがて乙女を大蛇のすがたに変えていき…。道成寺の鐘にまつわる、悲恋の伝説をもとにつくられた能の名作。
著者等紹介
片山清司[カタヤマキヨシ]
歓世流能楽師。1964年、京都府生まれ。父は九世片山九郎右衛門(人間国宝)、祖母に故四世井上八千代、姉は五世井上八千代といった能と京舞の芸能の家に育つ。幼少から父に、長じて故八世歓世銕之亟に師事。5歳で初舞台以来、全国にて様々な演能活動を行う。最近では舞台制作や海外公演のプロデュースも手がける。平成8年度京都府文化賞奨励賞、平成14年度京都市芸術新人賞、平成15年度文化庁芸術祭新人賞、平成19年度日本伝統文化振興財団賞を受賞
白石皓大[シライシアキヒロ]
日本画家。愛媛県西条市生まれ。多摩美術大学美術部日本画科卒業。日本美術院院友。1971年、院展に「倉敷」初出品・入選。以降、院展・春展に出品を続ける。森田曠平に師事。古事記などをテーマとして作品を描き続けている。二人展、グループ展など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gtn
23
情念をこじらすと、結果、自他ともに身を亡ぼす。それは、今も同じ。2024/12/12
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
12
僧に対する一途な想いが娘を大蛇の姿に変えた。道成寺の釣鐘にまつわる伝説を能の舞台に仕立て、それを絵本化したものです。何だかやり切れないです。大人が不用意に口にした言葉がこの悲劇を生みました。改めて子供の純粋さをいい加減な気持ちでとらえたらダメだなと思いました。大人になると社交辞令でつい思ってもいないことも口にすることがあるので、何だかそんな自分が嫌になりました。もう少し言葉を大切にしていきたいなと思いました。★★★2010/10/21
あおい
11
一途に恋しい人を想う気持ち。幼い頃から抱き続けたその想いは自らを大蛇に変え愛しい人を焼き殺してもまだおさまらない。哀れ。2019/07/15
栗羊羹
10
白拍子の舞に見とれて人々が寝息を立てる。白拍子は人とは思えない動きで鐘を鐘楼から引きちぎる。父が冗談で言った「こちらの若い僧がそなたの夫となる方」…こども心に刷り込まれた純粋な恋心。娘の身体から剥がれ落ちたうろこは、ひらひらと桜のように。2023/03/06
マツユキ
10
なぜか、子供の頃から馴染みのある物語を改めて。能の『道成寺』を絵本にした作品です。長らくつき鐘のない道成寺にようやく新しい鐘が。お披露目の日、供養の間、新しい鐘のお披露目の日、鐘の供養の間、女人の出入りを禁止しましたが…。清姫も可哀相だけど、白拍子も可哀相だなあ、と。雰囲気のある、美しい絵本ですが、余計なことを言わない、必要なことは言おう、などと、思ってしまいました。2018/11/26