内容説明
1945年2月、オーバーバイエルンのフロッセンビュルク強制収容所の門を1台のバスが通過した。そこには68歳のヤルマル・シャハトが乗っていた。シャハトはヒトラー内閣の元経済大臣で、ナチス政権の経済政策を主導した人物だった。ライヒスバンクの終身総裁であり、ドイツを何度も破産から救ったこの男が、なぜ死の淵に立たされたのか?彼は単なる金融のエキスパートだったのか、それとも冷徹で日和見的で不謹慎な怪物だったのか?本書は全2巻からなるバンド・デシネを1冊にまとめたもの。ヤルマル・シャハトの後半生―第一次世界大戦中からの大胆な金融政策、ナチズムへの協力と反逆、強制収容所の過酷な日々、連合国によるニュルンベルク裁判、冷戦下での新興国の経済復興―を描いている。聡明であると同時につかみどころがなく謎めいた人物であり、ナチスに加担した過去を持ちつつも、史上最高の経済学者の一人として君臨しつづけるシャハトの数奇な運命を追う。
著者等紹介
ボワスリー,ピエール[ボワスリー,ピエール] [Boisserie,Pierre]
1964年生まれ。理学療法士として15年働いたのち、フルタイムのシナリオライターとなる。主催者のひとりとして参加したバンド・デシネのイベントで、バンド・デシネ作家のエリック・スタルネールと意気投合し、1999年創刊の雑誌『La Croix de Cazenac(ラ・クロワ・ド・カゼナック)』に携わる
ギヨーム,フィリップ[ギヨーム,フィリップ] [Guillaume,Philippe]
1954年生まれ。バンド・デシネに情熱を傾けるジャーナリスト。ACBD(バンド・デシネ批評家・ジャーナリスト協会)元副会長。フランスの経済紙『レゼコー』でバンド・デシネ時評を執筆している。エリック・スタルネールの紹介でピエール・ボワスリーと知り合い、金融界をテーマにした作品の共同制作を開始
テルノン,シリル[テルノン,シリル] [Ternon,Cyrille]
作画は独学で習得。最初に作品が掲載されたのは、フランス北西部カーンのバンド・デシネ愛好団体が発行するファンジン『Bol d’encre(インクボウル)』だった。ノルマンディー地方在住
鵜田良江[ウダヨシエ]
独日・英日翻訳者。1970年、宮崎県生まれ。九州大学大学院農学研究科修士課程修了。技術者として化粧品や洗剤の開発にたずさわったのち、翻訳者となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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