内容説明
アイルランド生まれの探検家サー・アーネスト・ヘンリー・シャクルトンは、1914年、南極大陸横断を目指し、27人のメンバーと「エンデュアランス号」で旅立った。だが南極へ向かう航海の途上で氷塊に阻まれ座礁、氷の圧迫で崩壊し始めた船を棄てる。およそ17カ月にもおよぶ漂流生活の幕開けだった。寒さ、食料不足、疲労、病気―。およそ生還は不可能という極限の状況下、たぐいまれなリーダーシップのもと、28人の男たちはいかにして全員生き延びたのか。奇跡のノンフィクション。
著者等紹介
ランシング,アルフレッド[ランシング,アルフレッド] [Lansing,Alfred]
シカゴ生まれ。1940年ノースパークカレッジを中退して海軍に入隊、5年あまりを過ごす。46年ノースウェスタン大学に入学し、ジャーナリズムを専攻した。卒業後、イリノイ州で週刊誌の編集に携わった後、52年にコリアー誌の専属作家となり、冒険小説を手掛ける。55年にフリーランスに
山本光伸[ヤマモトミツノブ]
1941年東京生まれ。国際基督教大学歴史学科卒。河出書房に入社。1968年同社を退社し、プロの英・米翻訳家となる。(株)柏艪社およびインターカレッジ札幌代表取締役。一般社団法人文芸翻訳検定協会代表理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セロリ
35
南極大陸横断を目指し、1914年12月5日、エンデュアランス号はカンバーランド湾を後にした。しかし間も無くエンデュアランス号は氷塊に取り囲まれ、自然に翻弄され、ついには船を壊され、放棄することになる。隊長のシャクルトン以下27名は、氷の上にキャンプを張り氷が割れるのを待つ。脱出には3隻の小さなボートしかない。とんでもない酷い状況で、暖房の効いた室内にいるのにゾクゾクと寒くなるほどだが、シャクルトンの『全員で帰る』という強い意志を感じるたび胸が熱くなる。全員で帰れてよかった。この作品を読めてよかった。2025/03/19
雲をみるひと
24
乗組員の日記や生存していた乗組員へのインタビューを通じてエンデュアランス号とシャクルトン隊の遭難と生還の経緯を記した作品。同じテーマを扱ったシャクルトンの著書より客観的な視点でシャクルトンのリーダーシップと行動力が記されている。シャクルトンの著書同様ストーリーとしても面白いがシャクルトンの人となりがわかる分本作品の方が良いかもしれない。尚。資料不足からかエレファント島に残留した隊員に関する記載は多くない。2023/08/24
ぴよぴよ
5
南極横断探検隊の記録です。氷の海に阻まれ、エンデュアランス号も大破し、結果的には横断は未遂だったのですが、幾多の困難の末、全員を無事に帰還させた船長のシャンクルトンのリーダーシップに学ぶことが多いかもしれません。一方、それ以上に、漂流中の厳しい環境を生き抜く生活の様子が臨場感たっぷりなので、自分もあたかも経験しているようで、読み終えた時にはぐったりした感じです。最後のエンディングは感動的でした。2018/04/19
お抹茶
4
1915年から17か月,南極へ向かうウェッデル海で座礁し,船を棄てて氷上で漂流した乗組員達の日々を綴る。単調と絶望,極寒と飢餓に苦しみつつ,全員が生還する。過度にドラマチックに描くことなく,日記を基に当時の日々を再現して読ませていく。表紙には,シャクルトン隊長のリーダーシップを強調する言葉が書かれているが,その内容はあまり印象に残らなかった。それよりも,漂流を追体験するようなノンフィクションで,隊員が帰還できたときは自らもほっとした。2023/03/18
Kasuke Fujita
3
会社の研修における課題図書につき読了。1915年に南極大陸横断を目指したシャクルトンを隊長とした英国探検隊。しかし、南極圏海域で流氷に行く手を阻まれ、終いには流氷によって船が沈没。船を捨てて氷上を進み、ボートで極寒の海を漕ぎ、氷原を越えて命からがら人の住む街にたどり着いたノンフィクション。乗組員の日記をベースに執筆されているので、生々しい感情がひしひしと伝わってくる。ただ、課題である”シャクルトン隊長のリーダーシップ”について、”自惚の強さのために現実を見誤ることがあった”との一文に注目。これが課題か?2023/08/20