内容説明
日本人は毛沢東の軍事偏重路線を愚かと嘲り、〓(とう)小平の経済開放路線を褒め称える。だが、両者の行動を規定するロジックは一貫している。全ては偉大な中華の再興のためである。中国共産党のロジックは、毛沢東以来変わらない。中国を理解するには、現代の最高指導者のパーソナリティ分析をいくらしたところで無意味である。毛沢東と〓(とう)小平の言動の先にこそ、中国の未来がある。温故知新は真理である。
目次
序章 毛沢東と〓(とう)小平を正しく評価する
第1章 十年毎に発展する「核・宇宙・海洋」の三位一体戦略
第2章 台湾併合に立ち塞がった米国の核
第3章 核攻撃を前提とした大躍進・人民公社・人民戦争
第4章 西南地区の「三線建設」
第5章 異常な戦争準備態勢下で進んだ核開発
第6章 始まった「海洋の時代」
第7章 毛沢東と〓(とう)小平の遺言「中華世界の再興」が現実になる日
第8章 日本の知らぬ間に進んだ中国の宇宙開発
終章 核武装の緊急性
著者等紹介
平松茂雄[ヒラマツシゲオ]
1936年、静岡県生まれ。慶應義塾大学大学院政治学専攻博士課程修了。専門は現代中国の軍事・外交。法学博士。防衛庁防衛研究所研究室長を経て、1987年より杏林大学総合政策学部教授を務める。中国の政治・軍事戦略研究に人生の過半40年以上を捧げた、この分野の第一人者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shimada1986
1
文革、大躍進政策は核開発に資産配分するために為された政策であると述べられている。興味深い視点だと思う。2013/04/14
Ohe Hiroyuki
0
中華人民共和国(以下「中国」)の国家戦略を分析し、論じた一冊。▼最近ピルズベリー氏が『china 2049』を記し、中国が戦後一貫して、東アジアで(地域)覇権国家たろうとしていることを論じている。▼筆者は毛沢東が核兵器の意味を理解し、何をおいてもまず核兵器の整備に全力を挙げたのだと分析し、そのために人海戦術として「人民公社」や「大躍進」政策を実施したのだと論じる。その筆致は力強い。▼本書は、中国を分析する上で大いに役立つが、情報がやや古い(習近平の動向はフォローされれていない)ことに留意が必要である。2016/04/25