内容説明
“兄弟喧嘩”というトポスを切り口に中世末期から19世紀末までのイギリス・アイルランド演劇の400年を通観する壮大な試み。主に長子相続制との関連性で語られてきたこのトポスが実は演劇史上重大な意味を持つことが明らかとなる。
目次
「創世記」における兄弟の表象
「誰があなたの息子になるのでしょう?」―中世後期のキリスト教劇における兄弟と相続
『ゴーボダック』における弁論と宿命
『お気に召すまま』における「もしも」の効用
学者の兄が学ぶべきこと
兄を死なせた運命星に感謝せよ―名誉革命期の喜劇におけるアイルランドをめぐる兄弟像の多様化
チャールズを探せ―『悪口学校』と『若気の至り』における兄弟像のゆらぎ
兄弟をめぐる真空の結節点としての『バートラム』
ブーシコーとワイルドの戯曲における、兄弟の終焉の向こう側
著者等紹介
岩田美喜[イワタミキ]
1973年生まれ。東北大学大学院文学研究科・文学部准教授。東北大学大学院文学研究科博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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T. Tokunaga
3
旧約創世紀を起点に、中世の聖書劇からオスカー・ワイルドまで、兄弟とその「家督」のやりとりが、兄による弟への嫉妬や憎悪(カインとアベル、エサウとヤコブ)の聖書的構図から、長子相続の定着による、シェイクスピア的な土地所有、『あらし』なら王国そのものの絡む悲喜劇、王政復古から18世紀における重商主義 / 植民地による変化、さらに神話的元型化が進むロマン主義と、それを突き詰めたワイルド、という流れで論じられる。なお、「おわりに」には記載が少ないが、ワイルドののち米国演劇で、土地所有抜きの兄弟劇が盛んになる由。2025/11/07




