出版社内容情報
イギリスのロマン派を中心とする詩および詩人を多面的・広角的に論じた総覧的研究書。
第1章は、イギリスからの寄稿を含む7本の〈歴史主義〉的批評を配し、
第2章は、共鳴し合う〈時代精神〉を読み解こうとする論文を6本、
第3章には、メタ言語で言詩作品の再構築を目論む〈言語学的アプローチ〉の論文を5本配した。
中国四国イギリス・ロマン派学会[チュウゴクシコクイギリスロマンハガッカイ]
目次
第1章 歴史主義的批評―閉ざされた時間の中で白熱する詩人の魂(イェイツとムアの対立の深層―変化の小説家と葛藤の詩人の相克;詩と詩論の相互作用とその変容―「秋に寄せて」におけるキーツの新たな試み;バイロン 散華への道のり―抒情と風刺を超えて;ミソロンギへの道―バイロンのギリシア神話;自国意識をめぐるバイロンの葛藤―物語詩『島』を中心に;トマス・キンセラ「肉屋の1ダース」と血の日曜日事件;特別寄稿 勇者たちの熱狂―バイロンとユナイテッド・アイリッシュメン)
第2章 アナロジーの解剖学―共鳴する時代精神を刻印する(シェーマス・ヒーニーの詩における時空の超越;キーツの詩における「英国らしさ」の確立―ミルトンからチャタトンへの関心の推移から読み解く;ブレイク作品にみる「四」のペルソナ;ロレンスの書簡における「未来派」観;シェイクスピア悲劇におけるロマン性―トラジック・アイロニーを『ハムレット』の奥に読む;ストレイチーのキリスト教批判にみるロマン主義精神―ナイティンゲールとマニング枢機卿の小伝を通して)
第3章 言語学的アプローチ―詩作品を再構築するメタ言語の自立性(ワーズワスの「黄水仙」を読む―フィロロジーの立場とリングウィスティックスの立場から;『序曲』における‘love’について―動詞‘love’から詩人ワーズワスの愛の対象を考察する;ブレイクの「幼い黒人の少年」の重層的言語構造を解明する―音素を手掛りとして;『てんとう虫』の唄―「燃えているお家」が象徴するもの;ルイス・キャロルのノンセンス詩とマザーグース的なもの)