内容説明
劇作家としてのイェイツの全貌を明らかにするわが国初の画期的論考。アイルランドの国民詩人として名高いイェイツ、しかしその文学の本質はドラマの中にある。民族主義から出発しベケットを超える不条理のヴィジョンへ、イェイツの演劇は長大な軌跡を描く。
目次
第1章 劇作家としての黎明期―自伝『幼少年期の回想』における弁証法的自己探求(対立概念とその合一を指向する人物像;動的生活と静的生活―弁証法的な作文法による二種の家庭 ほか)
第2章 アイルランド民族主義運動とアビイ劇場―『キャスリーン・ニ・フーリハン』と『海へ騎りゆく人々』における農婦の表象(民族主義者たちと『キャスリーン伯爵夫人』の論争;『キャスリーン・ニ・フーリハン』における二人の農婦 ほか)
第3章 象徴主義演劇への傾倒―『鷹の井戸にて』における井戸守りの役割(舞踏劇の発見;『鷹の井戸にて』のテクストに内在する空白 ほか)
第4章 不条理演劇の予感―『窓ガラスの言葉』と『煉獄』に見るイェイツ晩年の世界観(バリリー塔での自己啓発;『窓ガラスの言葉』―トレンチ博士の困惑 ほか)
著者等紹介
岩田美喜[イワタミキ]
1973年生まれ。東北大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、日本学術復興会特別研究員(PD)
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