出版社内容情報
海外幻想文学紹介の礎石を築き、長年にわたり先導してきた紀田順一郎・荒俣宏の監修のもと、新生『幻想と怪奇』の企画・編集者が、名作を全六巻に集大成するアンソロジー。古典はもとより、二十世紀半ばの準古典作品までを新訳と名訳再録でおくる。本巻では「黒魔術」をテーマに、ブラックウッド、ブラヴァツキーら魔術に通暁した作家たちの作品に始まり、アーカムハウスの巨匠ダーレスやノーベル文学賞作家シンガーによる、二十世紀の秘儀と魔女の物語に至る。本邦初訳作、多数収録!
【収録作品】
ナサニエル・ホーソーン「若いグッドマン・ブラウン」/ロバート・ルイス・スティーヴンスン「ねじけジャネット」/ヘレナ・P・ブラヴァツキー「魂を宿したヴァイオリン」/アルジャーノン・ブラックウッド「五月祭前夜」/ウォルター・デ・ラ・メア「オール・ハロウズ大聖堂」/H・R・ウェイクフィールド「“彼のもの来りてのち去るべし”」/E・F・ベンスン「願いの井戸」/クラーク・アシュトン・スミス「魔術師の復活」/マーガレット・アーウィン「真夜中の礼拝」/アーサー・マッケン「変身」/マージェリー・ローレンス「蟹座と月の事件」/オーガスト・ダーレス「ロスト・ヴァレー行き夜行列車」/アイザック・バシェヴィス・シンガー「魔女」/解説=植松靖夫
内容説明
十三編の物語を通し、黒魔術の真髄に触れていただきたい。本書は、自由な想像力が創りだす幻想と怪奇の世界への、好格の道案内となることだろう。(編者)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あくび虫
7
テーマが「黒魔術」だけに、かなりこてこてで、怪奇系を読み慣れていない人は戸惑いそうです。――お気に入りはブラックウッド『五月祭前夜』で、品格と雰囲気のある秀作。ウェイクフィールド『彼のもの来りて…』は、てきぱきした筆致と古式ゆかしい悪の魔術師像が良い。『変身』は分かりやすくマッケンスタイル。オーガスト・ダーレス『ロスト・ヴァレー…』の、テンプレート的な原始宗教と、いかにもアメリカンな背景の融合が味わい深い。アイザック・ベシェヴィス・シンガー『魔女』は、好みからは外れるけれど印象的。次巻も楽しみです。2023/11/06
timeturner
3
魔女、悪魔、魔術師、魔導書など黒魔術に関する短編13編。どの作品も人間の知恵や力では対抗できない宇宙的恐怖を扱っているだけに、逃げ場のない恐怖をひしひしと感じさせる。四方八方に喧嘩を売っているような植松靖夫さんの解説がやたらに面白かった。2023/10/23
gibbelin
1
アイザック・バシェヴィス・シンガー「魔女」 これはもはや、バービーvsゴジラだ!2023/11/05