出版社内容情報
20世紀も前半の、イギリスのアンソロジーを繙くと、地位も教養もある人々がこぞって怪奇小説を手がけ、読者を怖がらせようと筆を揮っているのが見てとれます。名門校の学長、聖職者、政治家、書誌学者……怪談話も紳士のたしなみなのでしょう。もちろん、その中に小説家が含まれるのは、言うまでもありません。本書では、イギリスを代表する怪奇小説の書き手たちの中短編を集めました。古書あり骨董あり、謎めいた屋敷あり、そして趣味人も奇人もあり。西洋怪談の粋をじっくりお楽しみください。
内容説明
20世紀も前半の、イギリスのアンソロジーを繙くと、地位も教養もある人々がこぞって怪奇小説を手がけ、読者を怖がらせようと筆を揮っているのが見てとれます。名門校の学長、聖職者、政治家、書誌学者…怪談話も紳士のたしなみなのでしょう。もちろん、その中に小説家が含まれるのは、言うまでもありません。本書では、イギリスを代表する怪奇小説の書き手たちの中短編を集めました。古書あり骨董あり、謎めいた屋敷あり、そして趣味人も奇人もあり。西洋怪談の粋をじっくりお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翠埜もぐら
18
推しまくり19世紀後半から20世紀初頭にかけての英国怪奇小説の特集号。有名どころの紹介となにより肖像写真があったのは嬉しかったです。ブラックウッドの「柳」は最初に読んだときは何やら風景描写が長々しく飽きたのですが、何度も読み返すとその度話が短くなってきて、要するに面白くなってきてるのね。幽霊でも怪物でもない、でも抗えない何かって描写は難しくても怖さ?「嫌さ」は格別です。「壁の中の蜜蜂」はどの辺が「怪奇」なのかよくわからなかったのですが、こう言う人に甘えることができないジェルヴェーズちゃん、好きだなぁ。2022/08/03
5〇5
8
英国を代表する怪奇作家が勢ぞろいです。何かが取り憑いたお話が多いですね。それは時計だったり、鏡、日記帳、車、本などのモノ、建物、さらに場所など。それら憑き物が引き起こす怪異の数々。突飛なものから気味の悪いものまで楽しませてもらいました。2022/07/28
いっこ
6
古い家具や日記、館にまつわる恐怖の物語が好み。「チッペンデールの鏡」では一匹の猫が怪奇の場面のアクセントのように感じられたが、「灰色の家」では猟奇的なストーリーのせいか、猫の集団が不気味でならなかった。怪奇小説らしくない「壁の中の蜂蜜」、こんなに長くする必要があるのかと思わせられる「柳」等々、最後まで飽きることなく楽しめた。2022/09/22
timeturner
6
わたしのツボ押しまくりの特集。『インゴルズビー伝説』の翻訳はあの本に抱いていたイメージそのもの。「柳」は何度読んでも恐ろしい。「壁の中の蜂蜜」のジェルヴェーズには言ってやりたいことが山ほどあるが、月の見える部屋の描写は超絶美しかった。「眺望」にはこれまでのエイクマンのイメージを大きく広げる不思議な魅力を感じる。2022/06/10