出版社内容情報
現代の海外作品をおさめた〈二十一世紀のクトゥルー神話〉アンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sin
61
リゴッティの否定と肯定の繰り言、キアナンの美魚と野獣、ファイルズの詩臭、ウォルドロップ&アトリーが語る名も無き怪物放浪記(地球空洞説~狂気山脈の古代都市)或いは白鯨にエールを、テムは落伍者を描き、ワグナーの『黄衣の王』断片、ランズデールは真説ティンダロスの猟犬か?ママタスは最期まで無為な若者を登場させ、ファイルズの解体詩書、ランガンは『廃都』を怪奇からSFへと上書きする。ここにクトゥルー神話の新たな進化が結実した。2019/12/17
lovemys
7
上巻よりもオシャレな感じ。現代的なラブクラフト。古代の神話というより、現代に甦ったって感じが新しい。しっかりインスマスだしクトゥルーだし、とても読み応えあった。最後の解説も、ラブクラフトの復習みたいで面白かった。満足の1冊♪2021/05/05
三谷銀屋
6
詩などもあり、上巻よりもさらにバラエティに富んだ内容だった。「昏い世界を極から極へ」が好き。主人公はフランケンシュタインの怪物。自らの創造主であるフランケンシュタインの思惑を超え、そして現実の小説家達の空想も超えて、地下世界を大冒険して自分の道を切り拓いていく。ラストが爽快。呪われたレコードのために異次元の怪物に襲われるホラー「血の色の影」、異形の恋物語「禁じられた愛に私たちは啼き、吠える」、砂漠の寂れたモーテルで過ごす家族の「覚醒」が不気味な「クロスロード・モーテルにて」も面白かった。2019/12/23
Ai
5
クトゥルー神話の愉しいアンソロジー。やはり一番は『昏い世界を極から極へ』だ。主人公があのフランケンシュタインの人造人間で、文字通り北極から南極へジュール・ベルヌも度肝を抜かれる大冒険をする。ラヴクラフトの作品は、コズミックホラーが注目されがちだけど、実は秘境大冒険ものもあって、そこをフューチャーしたがよかった。2022/12/06
ekoeko
5
「愚宗門」「禁じられた愛に私たちは啼き、吠える」「塩の壺」「昏い世界を極から極へ」「クロスロード・モーテルにて」「また語りあうために」「血の色の影」「語り得ぬものについて語るとき我々の語ること」「腸卜」「牙の子ら」巻末の怪物便覧が参考になる。奇妙なレコードの怪「血の色の影」と冷凍庫で怪物を制御している「牙の子ら」がよかった。2020/04/02