内容説明
「すぐにでも、出立せい。よい結果を持ち帰れよ」―将軍徳川家斉に直にそう告げられたのは、お庭番・伊吹竜之介である。本来お庭番はお目見得以下の臣であったが、家斉が信頼する竜之介はこの限りではなかった。その使命は、将軍家から密命を帯び、諸国大名の懐に潜入、内偵すること。密命は絶対で、そのために冷酷非情に徹した。羽後の国・久保田の城下町に入った竜之介は、元お庭番で一昨年から旅籠屋の主人に収まった安兵衛を追っていた。必死の探索である。隠密の任務を放棄した者には、死を与えるしかなかったからだ。そしてついに安兵衛を追い詰めた竜之介。彼はいかなる裁量を下すのか…。その巧妙な手口と恐るべき豪剣が、驚愕の真実を暴き出す!長編時代小説。
著者等紹介
笹沢佐保[ササザワサホ]
1930年、東京都生まれ。郵政省東京地方簡易保険局勤務を経て、1960年、江戸川乱歩賞次席となった『招かれざる客』でデビュー。翌年、『人喰い』で日本探偵作家クラブ賞を受賞。1972年に始まったテレビドラマ『木枯らし紋次郎』シリーズが一世を風靡する。晩年は佐賀に移り住み、執筆活動を続けながら、九州さが大衆文学賞(笹沢左保賞)の創設・運営にも尽力。時代、推理、サスペンス小説、エッセイなど、生涯で三八〇冊の著作を残し、2002年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。