内容説明
ちぢれ毛の髷にしょぼくれた顔…亀無剣之介は、その冴えない風貌ととぼけた態度から、周囲に無能と侮られる北町奉行所同心。仕事がつらいとぼやいてばかりだが、その本性は、犯人のほんのわずかな間違いを見逃さない、きわめて頭脳明晰な切れ者であった。ある日、不忍池の横の川に悪名高い金貸しの亡骸があがり、その近くで、商家の若旦那の斬殺死体が見つかる。現場の状況から辻斬りの仕業かに思われたが、剣之介はただひとり、事件にほどこされた偽装に気づく。着々と下手人を追いつめる剣之介であったが、事件の裏には、予想もつかぬ衝撃の真実が秘められていた…。人間の底知れぬ闇を描いた傑作『きつね火』収録の、第四弾。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県生まれ。93年『黒牛と妖怪』で第一七回歴史文学賞を受賞。時代・歴史・ミステリなど、多岐の分野で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オーウェン
51
シリーズ4作目だが剣之介自身の苦悩は深くなっているように感じる。 もはや事件そのものに嫌悪しているかのような。 ただ嫌々そうにしながらも粘っこい捜査は変わらず。 犯人側の心情も変わってきており、単なるずるがしこい下手人ではなく、時には同情させるような犯人像も。 「仇の寿司」の大将も捕まる際の引き継ぎなど実に潔い。 あとは志保との恋仲だが、こればかりは時間がかかりそうか。2023/05/10
怪盗紳士
0
第2話の最後に下手人が発した、「自分の首を絞める事になる」というのが実現したのか、3話から命を狙われ始めます。シリーズを通してまだ正体不明なので続きが待ち遠しいです