内容説明
「刃向かえば斬る!」―斬り捨て御免は、八百九十九カ所の武家番所に許される特権だった。とくに秋田・佐竹家上屋敷門外に置かれ、剣術師範・花房出雲を頭取とする“鬼の三十六番所”は、容赦のない取締りで恐れられていた。腕ききの家臣を擁して、昼夜警戒に当たっていたのだ。冷たい雨が降る晩、白い犬が人を食べているとの報が入った。駆けつけると、斬られた人間の腕の血潮を犬が舐めている。殺されたのは一人の鉄砲鍛冶。袂からは鉛の弾が発見された。しかもこの弾、朝鮮使節の将軍家への献上品、虎を狙う強力な錨弾と判明。その影にさる大名家の恐ろしい陰謀が明らかになる。奸計どもに出雲の一刀、ひらめくのか!江戸の治安を冷酷に守り抜く男たち、その活躍を描く傑作長編時代小説。
著者等紹介
島田一男[シマダカズオ]
1907年、京都府生まれ。満州日報社にて新聞記者を務めた後、1947年、雑誌「宝石」の短編懸賞入選作『殺人演出』で作家デビュー。1951年、『社会部記者』で探偵作家クラブ賞を受賞。以後、本格推理、探偵作品が好評を博す。痛快な捕物を描く時代小説の著作も多い。1971年、日本推理作家協会理事長に就任。1996年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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