内容説明
小伝馬町の牢屋敷から出た市中引き回しの行列―。科人・音次は、うしろ手を縛られ馬上にいた。だが突然、厳重で堅い縄を切り、馬を駆って町中に脱走する。責任をとった牢屋同心は自害、その息子・角之助は父の仇討ちのため、岡っ引きとなり音次の行方を追うことになった。音次には、処刑前にやらねばならないことがあった。自分を裏切った悪党と、肉親を非業の死に追いやった奸物どもへの復讐…。これを遂げるため血なまぐさい逃亡劇を続ける。一方の角之助も、凄まじい執念でその足取りを捉えた。運命に導かれ、ついに対峙する二人。そして、手に汗握る勇ましい対決の行く末には、感涙を誘う結末が待ち受けていた。
著者等紹介
多岐川恭[タキガワキョウ]
1920年、福岡県北九州市生まれ。東京帝国大学経済学部卒。新聞社に勤務後、53年、作家デビュー。58年『濡れた心』で江戸川乱歩賞、59年『落ちる』で直木賞を受賞。時代小説のほか、SF、ミステリーなど多数の著作を発表した。89年、紫綬褒章を受章。94年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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