内容説明
1941年(昭和16年)9月21日、東京の海軍省でインド独立運動の闘士チャンドラ・ボースと連合艦隊司令長官山本五十六の歴史的な会見が実現した。この両巨頭の会談によって日本の歴史は塗りかえられることになる。同年11月29日、中国南部の海南島の三亜港には極秘裏に100隻を超える日本艦艇が集結していた。これこそ日本海軍の4割近くを占める最強の馬来部隊であった。総指揮官は旗艦「金剛」に座乗する小沢治三郎中将。遂に日本軍は南方侵攻を決定したのだった。12月5日に対英宣戦布告がなされ、陸海軍の攻撃部隊が香港、マレー半島を強襲する。先の選挙で若者を戦場に送らないことを公約したルーズベルト大統領は、下手な動きをすればアメリカ国民の支持を失いかねないため身動きがとれない。一方、英国首相ウィンストン・チャーチルは、アメリカの参戦を熱望しつつ、苦悩のうちに英極東艦隊の動向を見守る。豊富な歴史知識と緻密な軍事設定のもとに、鬼才・青木基行が縦横無尽に展開するスーパーリアル・シミュレーション戦記。