出版社内容情報
パレスチナ/イスラエル問題を「自分のこと」として考えるために
国際法に明確に違反する虐殺であるにもかかわらず、「停戦」まで長すぎる月日を要し、さらにいまだ続くイスラエル軍によるガザ侵攻。
イスラエル建国を支持し、その筆舌に尽くし難い暴力を黙認し続けてきた欧米諸国の責任が問われる現在、かつて東アジア史におけるグレート・ゲームに名乗り出た帝国日本との関わりを起点に、国際的な植民地主義の負の遺産を検証する。そして、ユダヤ人国家・イスラエル建設の発想はどのように生まれ、知識人たちはどのように正当化/批判してきたのか、思想史の観点からも経緯を追う。
社会思想史研究者であり、パレスチナ/イスラエル問題にかかわってきた著者によるこれまでの主な対談のほか、また南アフリカ現代史の研究者・牧野久美子さんと植民地期および解放期における在日朝鮮人の生活史/ジェンダー史研究者・李杏理さんとの新規鼎談も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイティ
30
鼎談もあるからか、いくつか読んだ早尾さんの本の中でも、一段と濃密で読みごたえがあった。直接攻撃は加えなくとも、日本を含む帝国によるグレート・ゲームがこうした線路を引いてきた。加害を検証しないと被害も正しく捉えられない。他国を自分たちの利権追求のため支配し続けてきたことと、市民たちがその道具として使われた背景に目を向ける必要性はセットだ。ある特定地域の問題でなく、歴史は繋がっている。パレスチナ問題にとどまらず、当事者意識を持って帝国、自国中心、差別主義などへの解像度がぐっと上がる。今こそ広く読まれてほしい。2025/07/25
林克也
0
「10年後、20年後、もし世界が存続しているとしたら、それはどんな姿をしているであろうか」ウクライナの時から、私もそんなことを思っています。 田舎の小学6年生の時の2月28日、担任の先生と10人だけの同級生と、教室で一日中あさま山荘のTV中継を見ていた私には、10年後に世界がまだあったとしても、そこに存在していないかもしれない・・・。2025/07/31