内容説明
滅びつつある昭和の色街とその風情を今に刻む。
目次
真率なる人生記録!! 坂口安吾・阿部定
阿部定さんの印象 坂口安吾
花魁少女 薔薇蒼太郎
恐るべき娘達 武野藤介
洲崎パラダイス 芝木好子
人魚の婬 龍胆寺雄
芸妓の掟 戸山一彦(伝野坂昭如)
あゝ水銀大軟膏 野坂昭如
雄琴トルコ・ボーイ体験ドキュメント 風戸遊
著者等紹介
本橋信宏[モトハシノブヒロ]
1956年埼玉県所沢市生。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あじ
34
ディープなアンソロジー集【紙礫シリーズ】から、コアなファンに向け新路線“EX”が発進した。小説に限定しないアンソロジーとのことで、今回の目玉はなんと言っても『坂口安吾×阿部定の対談』だ。親衛隊を気取る安吾の饒舌ぶりにテンションが上がる。また風戸遊が一ヶ月に渡り、トルコに潜入したルポ『トルコボーイ体験ドキュメント』も必読。その他、乱歩の実弟平井通や野坂昭如がペンネームで執筆した小説など、色街の裏をかくしっとりとした情感に、チップをはずみたくなるラインナップだ。戦後の臭気がたまらない、時代風俗の谷間。2019/03/07
fwhd8325
32
子どもの頃には「大人の世界」とわかる場所だったり、子どもが手にしてはいけないと思うものが明確だったと思います。好奇心が大きくなり、ある時期を迎えると、そんな禁断の世界に触れるようになります。それは、どこか後ろめたさと一つ殻を破った達成感に近いものを感いる瞬間です。そんな感覚を思い出しながら、読みました。冒頭に収録された坂口安吾と阿部定の対談ってすごい企画だと思います。2018/03/08
ジャズクラ本
9
◎昭和20年から30年頃を主体として女と男が繰り広げた恥態の数々を収録。坂口安吾と阿部貞の対談に始まり、薔薇蒼太郎(江戸川乱歩の実弟)の花魁少女では、好色中年男が花魁娘ににじりよる叙述がその後の男と女の体臭で立ち上りむせかえるような生臭い交接を想起させる。他、1980年頃の当時トルコと呼ばれたソープへのボーイ潜入ルポや、戸山一彦名義の頃の野坂昭如による枕芸者に堕ちていく女工の物語など、色濃い昭和の湿った日陰の世界が濃密に描かれている。近年あまり省みられることの少ないこんな文学に耽ってみるのも乙なもの。2019/11/12
チョビ
5
戦後の赤線関連の短編小説集。著者が野坂昭如やら乱歩の弟やらというのも興味深いが、何度も映像化された短編もあって驚いたが、それほどどきつくもなく、むしろ風流な小説だった。安吾と阿部定の対談で、安吾の鼻の下が伸びきってるな、こりゃあな風は面白い。幻のルポライターによる70年代のソープルポは一読の価値あり?2018/06/26
goodchoice
2
日本各地の色街に触れていて、お国柄がもっと味わえるのかと思ったが、期待外れだった2018/05/30