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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
169
タイトルにインパクトがある。2016年10月出版と比較的最近の本なので手にとる。震災直後にTV等で良く流れていた「絆」。具体的な実感もなく徐々に違和感を持った。この本は美談ではなく、実際に起こった現実も描いている点に好感が持てる。岩手県の「濡れ組」と「乾き組」。原発事故による立入禁止区域での窃盗。被災地での性犯罪。思うに、善意はとてもありがたい。ただ、その善意が独りよがりになってしまうと、少し違うと思うのだ。勿論、被災地に生きる我々も自分達の力で立たねばならない。報道されない現実を知ることが出来た一冊。2018/03/11
nyaoko
71
東北大震災から7年。あの時、確かに「絆」と言う言葉がテレビから、新聞から発信されていた。家族や友人、職場や地域の絆を大事にしようと。しかし、絆とは本来「家畜を繋いでおく綱」の意味だった。濃密過ぎるが故に、家族に夫に縛られ、自立出来ず苦しむ女性。働く意欲を無くした親を持つ幼い子供。被災地で起こる窃盗や性犯罪の被害者は常に弱者だ。絆絆って言うなと叫びたい人達のやり場のない怒りはもっと報道されるべき。まさに、片方だけが握りしめる綱は見えない拘束だ。そして、濡れ組と乾き組と言う衝撃の事実。私達は知らなさすぎる。2018/03/25
ばりぼー
44
「絆」とは、もともと犬や馬などの動物をつなぎとめておく綱のことを言う。千葉県旭市は津波で12人がなくなり、通常なら新聞の一面トップになってもいいような被害だったが、東北の方が被害が大きく、取材も救援物資やボランティアも東北に集中、義援金や救援物資の不均衡が起こった。津波による被災者(濡れ組)と地震のみの被災者(乾き組)を区別して濡れ組を排除するとか、他地域から来た被災者を税金を払ってないと言って追い出すとか、避難生活の中で何もしない連中を「寝たきり」と呼んで差別する現実を、私達は直視する必要がある。2017/04/22
八百
31
今を知りたかったので発刊日の新しいものをチョイスしてみたのだが当時の記録がほとんどでちょっと期待はずれだった。しかしそれは取り上げられた内容を私が見聞きして「知っている」からであって総じて見れば被災地に密着した丁寧な取材のもとにまとめられたダイジェスト本であり新たに「知る」ためには良く出来ている一冊なのだろう。上から目線ついでにもうひとついわせてもらえばインパクトあるタイトルなのだからもっと「絆」に特化すれば読み物として興味深いものになったのではなかろうか…上げたり下げたりでスマヌな2018/03/06
百太
26
昨年の読メイベント【東日本大震災・あの日を忘れない】 https://bookmeter.com/events/5074 で紹介されていて読みたかった本を、やっと読みました。 あの震災から人の優しさ強さ思いを感じられる事が沢山あったが、 人の傲慢さ醜さずるさも実感させられた事もありました。 インパクトの有るタイトルから。もっと深堀した話が書かれているのかと 思っていましたが案外感情を抑えて短くまとめてあります。 もうじき又3月11日がやってきます。震災関連本読み始めている今日この頃です。 2019/02/10