出版社内容情報
1961年から2002年までに刊行された55冊の詩集(個人詩集・合同詩集)から精選した作品群。塔和子から桜井哲夫までを網羅した。埋もれた現代詩に光をあてる。
一九六一年 樹氷(東北新生園合同詩集)/はだか木(塔 和子)
一九六二年 鬼の顔(谺 雄二)/高原詩人集(栗生楽泉園合同詩集)
一九六四年 とっぱれ(松丘保養園合同詩集)
一九六七年 ぼくのロシア(コンスタンチン・トロチェフ)
一九六八年 山鳥の径(品川 清)/つくられた断層(長島愛生園合同詩集)
一九六九年 分身(塔 和子)
一九七一年 小泉雅ニ詩集(小泉雅ニ)/過ぎたる幻影(長浜 清)
一九七三年 くまざさの実(栗生楽泉園合同詩集)/エバの裔(塔 和子)
一九七四年 砂漠の星座(庸沢 陵)/星と詩人(沢田徳一)
一九七五年 川のない貌(つきだまさし)
一九七六年 第一日の孤独(塔 和子)
一九七八年 聖なるものは水(塔 和子)
一九七九年 花を活ける女(小村義夫)/闇の中の木立(小林弘明)
一九八〇年 鵞毛(光岡良二)/骨片文字(栗生楽泉園合同詩集)
一九八一年 ライは長い旅だから(谺 雄二)
一九八三年 伝説(光岡良二)/草津アリラン(香山末子)/いのちの宴(塔 和子)
一九八四年 島の四季(志樹逸馬)
一九八五年 違い鷹羽(越 一人)
一九八月(中山秋夫)/恨(韓 億洙)
解説 大岡 信
私は本全集第六巻の解説で、日本の「現代詩」が一九四五年の敗戦後、「窮乏と疲弊の時代に続く最初の活性化の時代」に入り、「いわば活気に溢れた時代を横切りつつあった」一九五〇年代について触れ、この全集の第七巻が、一九六一年の作品群から始まるということは「偶然とはいえ幸運だった」と書いた。というのも、ハンセン病患者の詩人たちは、たとえ狭い生活空間に生きることを強いられていた人々であったにせよ、(むしろそれゆえに一層)敏感に、一般社会の知的動向に立ち向かい、影響も進んで受けようとしていたと考えられるからである。意欲的な人々は、結社誌の熱心な同人仲間に加わったし、そこでぐんぐん頭角を現す人も少なくなかった。(大岡信「解説」より)
目次
樹氷(東北新生園合同詩集)
はだか木(塔和子)
鬼の顔(谺雄二)
高原詩人集(栗生楽泉園合同詩集)
とっぱれ(松丘保養園合同詩集)
ぼくのロシア(コンスタンチン・トロチェフ)
山鳥の径(品川清)
つくられた断層(長島愛生園合同詩集)
分身(塔和子)
小泉雅二詩集(小泉雅二)〔ほか〕