出版社内容情報
時は大正。無政府主義者・大杉 栄。神出鬼没の和田久太郎。
浅草十二階下を彷徨う美的浮浪者・辻潤。関東大震災の死屍 累々。大杉殺し、真犯人は甘粕正彦か? ステッキ銃を手に大逆を企てる難波大助。
黒旗の下に集いし美女・豪傑・怪人・革命家。
1975年から、『現代の眼』誌上に連載された幻の傑作、初の単行本化!
内容説明
あの竹中労と若き日のかわぐちかいじが描く!革命家、美女・妖女、テロリスト、大陸浪人、快人・怪人が織りなす大正アナキズムの世界。
目次
プロロオグ
1 蒼白き巣窟
2 娼妓解放戦争
3 幽霊、西へ行く
4 狂乱と覚醒のそのとき
5 ああ、革命は近づけり
6 ニッポン脱出行
1 ~ 1件/全1件
- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
国士舘大学そっくりおじさん・寺
64
この本は、ページの上から3分の2は、かわぐちかいじによる劇画で、その下は原作者の竹中労の文章という構成。原作した上にさらに書きたいという竹中労の意欲は大変素晴らしいのだが、嗚呼、素晴らしいのだが、素晴らしく素晴らしいのだが、なんと私は文章を読まずに劇画だけ読んでしまった(だって『大杉栄』とほぼ一緒なんだもん)。天国の竹中労には申し訳ないが、そういう訳である。そして内容のレビューは下巻の方でやりたいと思っている。私のレビューを読んでみたいという奇特な方は、下巻の方も覗いてやってほしいです。大杉栄は、私だ。2021/01/13
yasubei
2
インタビューでかわぐちかいじ先生が清張の昭和史発掘に影響を受け、この大正時代の暗さとそこで生きる人間のエネルギーの強さに魅力を感じたと言うのが後の作品にも繋がっていくのかなと。 竹中労についても当初は芸能ライターの印象が強く、彼が書こうとするのはプリミティブなものではないかと感じていたが、資本主義にしろ社会主義にしろ行き詰まりを見せた現代において彼が着目したのは第三の道としての社会の有り様ではなかったかとする指摘が面白い。2019/08/12