出版社内容情報
わたしたちが当たり前に使っている「濁点」は、画期的な発明だった!
どんな音も示すことができた万葉仮名に始まり、ひらがな・カタカナの誕生から、濁点発明の瞬間まで――。日本語の変遷の謎を次々に解き明かし、日本語から「歴史」をあぶりだした、ダイナミックな日本語論!
内容説明
“かな”を濁った音にする「てんてん」は、近代に発明された記号である。『古事記』『万葉集』など万葉仮名で書かれた日本語には、濁音で始まる言葉はほとんどなく、江戸の人々は、「てんてん」がつかない文章でも、状況に応じて濁る・濁らないを判断していた。自然の音を言葉にする能力に長けた日本人の精神性に根ざした「てんてん」の由来と発明の真相に迫る。
目次
第1章 日本語の増殖
第2章 万葉仮名で書く日本語
第3章 “かな”前夜
第4章 清なる世界が創られる
第5章 言葉は曼荼羅
第6章 訓読と濁点
第7章 言葉遊びの文化
第8章 みんなで極楽へ
第9章 キリシタンと濁音
第10章 江戸と濁音
第11章 言葉は科学である
第12章 濁点の研究
著者等紹介
山口謠司[ヤマグチヨウジ]
1963年、長崎県生まれ。大東文化大学准教授(中国文献学)。大東文化大学文学部卒。フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
55
【なんとも可愛い呼び方ではないか。言語の記号がこのような親しみのあるニックネームで呼ばれることなど、外国語ではないことだ】かなを濁った音にする「てんてん」は、近代に発明された記号だったか。江戸の人々は状況に応じて濁る・濁らないを判断した、と。言葉を自由自在に使いこなす日本人の精神性に根ざした「てんてん」の由来と発明の真相に迫った書。巻末に参考文献。2012年刊。<「てんてん」の発明は、擬音語、擬態語と呼ばれる自然の音を言葉にする能力に長けた日本人ならではの、まさに日本語の神髄とも言えるものである>と。⇒2024/03/06
へくとぱすかる
24
コミックに頻出する奇妙なカナ表記。これには先例があった! かつて日本語には濁音で始まることばはほとんどなかったが、さらに濁音をあえて表記しない理由があった。というのがテーマ。先人の工夫が、さまざまな音を表記していく歴史は、コミックの文字にも根拠を与えそうだ。2014/10/20
はちめ
6
再読。書いてあることが断片的で分かりにくい。言葉に直接関係ない日本史に関する記述が長々と続いて退屈する。肝心のひらがなに付けるてんてんについては明確な説明がない。面白そうな内容なのだけれどもやや残念。☆☆★2021/03/28
読書国の仮住まい
2
本筋とは関係ないと思える記述がだらだらと綴られており、読んでいても濁点に辿り着かない。 理解力に乏しい俗人が何とか理解し得たのは、要するに昔と今では発音が違うと。 森鴎外の小説は『ヰタ・セクスアリス』で『ヴィタ・セクスアリス』とは書けなかった。 英語やフランス語には濁音には独立した文字が当てられているが、平仮名は文字に濁点を付与する形を取っている。 『が』は独立した文字であるが、てんてんという言い方はまだ失われていない。 『え』や『ん』に濁点を付す表現が作られるのがその証左。 清濁併せ呑むとは仮名の世界。2021/04/15
カラコムル711
2
なかなか奥の深い問題で、言語学や漢語、サンスクリット、仏教の知識に乏しい私には理解半ばもいっていない。しかし面白言うことは満点である。ただし、やや筆者は難し分析しすぎかなと素人には思えるところもある。筆者の『ん 日本語最後の謎』も面白い。とにかく我々は日本語も事をあまりに知らない。2020/02/20
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