出版社内容情報
――わたしたちの性格は似てないし、母同士も似ていない。でも、それぞれの母親から受け取ったメッセージは、人生は楽ではない、ということなのかも。
15歳の宙と紗奈、美森は修学旅行でおこったある事件をきっかけに、いっしょにすごすことが多くなった。見た目も性格も似ていない3人だけど、母親とふたり暮らしという共通点があった。娘たちの性格が似ていないのと同じように、母同士も似ていない。はじめは仲の良い友だちとはいえなかった3人は、ともに過ごすうちに、お互いのことをじょじょに知るようになって……。
内容説明
出会って語りあえたからわたしたちは今、未来を想える。女性が社会で直面する生きづらさを考える物語。
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県生まれ、東京都育ち。『フュージョン』(講談社)でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)で坪田譲治文学賞を受賞
牛久保雅美[ウシクボマサミ]
桑沢デザイン研究所卒業。イラストレーション青山塾修了。線画表現をベースにアンニュイな女性像を描く。書籍、雑誌、広告、webなど様々な媒体で活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J D
78
YAを時々読む。ハズレがないから。心が潤うから。濱野京子さんはこれで2作品目。中高一貫校に通う3人の少女たちの成長かつ友情物語。と書くとありふれているけど、中学3年、共通するのは母子家庭。そして、ジェンダーについて問う作品。表紙絵は、左から宙、美森、紗奈。それぞれに抱える問題を話して共有することで折り合いをつけていく。話すことは大事。作品を締めくくる宙の言葉が全てを語っている。「わたしたちは、出会うべくして出会ったんだよ。」オススメです。特に中高生に読んで欲しい。2025/04/05
ゆみねこ
73
中高一貫校の中3で同じクラスの宙(ひろ)・美森・紗奈は、見た目も性格も全く違う。たまたま全員が母親と2人で暮らしている。それぞれが持つ母親への思い、男性に対する考え方。はじめは心が通じなかった3人が言葉を知り、女性が社会で直面する様々な生きづらさに気づいてゆく。柔らかな心の15歳たちの感性と成長に感動した。3人の母親たちもそれぞれ素晴らしい。中学生以上大人の皆さんにもお薦め!2024/07/21
信兵衛
15
三人が絆を深めていく中に、友情の深化、ちょっとした成長が感じられ、気持ちよく、そして健やかなストーリーになっている処が嬉しい。2024/07/31
雪丸 風人
15
共学の中高一貫校が舞台。男性にまつわるトラウマのある中3の少女たちが、思わぬ流れから親しくなり、心の距離を縮めるなかで、それぞれの悩みに自分なりの答えを導き出していきます。女性ならではの困り感ってこんなにあるんだ!ミソジニーのような未知のハラスメントの話もあって勉強になりましたよ。そして、気の毒で胸が苦しくなる場面も。性別を問わず、わかり合うためにどうすればいいのか?相互理解の先にはどんなしあわせが待っているのか?その答えは、やさしく丁寧に綴られたこの物語が教えてくれます。(対象年齢は13歳以上かな?)2024/06/27
そうたそ
14
★★★☆☆ 見た目も性格も似ていないが、母と子の二人暮しという共通点のある中学生の女子三人。日々に漠然と女性ならではの生きづらさを感じる中で、それぞれが未来を見つけてゆく物語。いつもながら、思春期を描きながら、違和感なくストーリーに社会的テーマを盛り込む手腕が巧み。女性であるからこそ感じる生きづらさって、きっと同年代の男子からすれば想像もつかないことなのかも、と思ってしまう。どうにもならなさに悩みながらも、答えを見つけてゆく。読み終わってみれば、勇気をもらえていた一作。2024/07/02