出版社内容情報
--ほんとうにあったことを描くのだ。うそや、からかいではなく。ごまかしではなく。見たことを。
時は文久元年。13歳の吟は、流行り病で亡くなった母の代わりに、父・緑青の稼業・かわらばん屋の手伝いをしていた。かわらばんとは、庶民にニュースを伝えるいまでいう新聞のようなものだが、かわらばん屋はまともな仕事ではなかった。なぜならこの時代は、政治に関することや世の中のありさまを書くこと時代が禁止されていて、ましてやそれを刷って売り、人びとに広めるなどもってのほかだったからだ。ある日、吟と緑青のもとに、見世物小屋の主人・征六がやってくる。征六は、ニセモノの人魚をつくってひともうけしようともちかけてくるが……。
内容説明
ほんとうにあったことを描くのだ。うそや、からかいではなく。見たことを。幕末の江戸を力強く生きぬく少女の物語。
著者等紹介
森川成美[モリカワシゲミ]
東京都生まれ。「アオダイショウの日々」で第18回小川未明文学賞優秀賞。『マレスケの虹』(小峰書店)で、第43回日本児童文芸家協会賞
伊野孝行[イノタカユキ]
三重県生まれ。第44回講談社出版文化賞さしえ賞、第53回高橋五山賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がらくたどん
50
児童書枠でこの題材でこの装丁で「このEND?」と心の底からビックリした(´Д`)13歳のお吟ちゃんちの稼業はかわら版屋。それも「仲間」(相互検閲組合みたいなの)に入っていない認可外。だから内容は自由だけれど傘で顔を隠してパッと売って逃げる!母親が亡くなりヤンチャな弟を抱えて頑固親爺の手伝いもして大変だけど絵を描くのは楽しいし頑張らなくちゃ。お吟ちゃんの揺れる心の描写も幕末のニュース事情もとても良い。だけどこの結末では終われない。『アサギを呼ぶ声』で苦境から活路を拓く少女を描き切った森川さん、期待してます!2024/09/29
マツユキ
15
幕末の江戸。母が亡くした吟は、かわら版屋の父を手伝いながら、家事も、幼い弟の世話をする毎日だったが…。幕府に取り締まれられ、本当の事を書けないかわら版。そういうもんと思っていたけど、想像を超えた事が次から次へと吟の身に起こる。残酷な現実と、突きつけられた正義や命の意味に、吟は何を思うのか。報道など、今の時代にも通じる読み応えのある作品でしたが、二人が楽しく生きる別の世界線を夢見てしまいます。2024/09/20
スイ
10
うわあああああああ!!!!! 予想外!!!!! 表紙とタイトルだけで、おてんばなかわらばん屋の娘さんが活躍する明るく楽しい感じかなーと読んで目を剥いた。 全然違う。 これは、ジャーナリズムについて、だ。 ラストシーンが胸に焼きついて、痛いのだけど同時に力も湧いてくる。 知らせないことで都合よくことを運ぼうとするお上なんか、許せるはずないじゃないか、昔も今も。2024/07/18
いなこ
2
江戸時代の江戸で、かわらばんで稼いでいた一家。母を流行病で亡くし、父は行方を眩ます。弟と残された13歳の吟は、偶然知り合った同じ歳の侍悠三郎とかわらばん屋を続けるのだが…。フィクションであるが、時代背景も捉えられる内容。その中で13歳の2人はたくましくもあり、感心することも。カバーのかわらばんのネタが興味をそそる。2023/10/05
takao
1
ふむ2023/10/21
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- 和書
- 風のねこ