出版社内容情報
――「ここは、寄り道!」
佐合理一郎(リイチ)は、言葉できちんと説明できないことやムダがきらいな小学校6年生。成績も優秀、スポーツもピアノもそつなくこなすリイチだったが、親友の準也のようには、将来の目標がもてずにいた。ピアノのレッスンの帰り道、同じ学校の海空良と出会ったリイチ。あきらかにウマがあわないタイプの女子・海空良に連れられてリイチがむかったのは、転校していった中上大智の家だった。4年生のときのある出来事がきっかけで、大智に会いたくないと思っていたリイチだったが、強引な海空良のペースにあわせているうちに、大智とも顔をあわせるようになって……
ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏のちょっとした成長物語。
内容説明
ふわっとなんていわれても、理解できるわけがない。ぼくは言葉できちんと説明できないことがきらいなのだ。ムダがきらいな少年・リイチが出会ったものは…
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県生まれ、東京都育ち。『フュージョン』(講談社)でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)で坪田譲治文学賞を受賞
しらこ[シラコ]
岐阜県生まれ。イラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiaki
32
要領がよく合理的、筋の通っていない曖昧なことや表現が嫌いな小6理一郎のひと夏を描く。感覚で動く海空良やのんびり屋の大智との関わりは、理一郎とは一見合わなさそう。でも次第に深まっていく友情に、すべてのことがうまく言葉で説明できるわけではないことを知り、少しずつ変わり始める。養子縁組の話題など重たくなりそうなテーマも含まれているが、とても爽やかに描かれていた。私が理一郎の母なら言いたい。リイチ、人生にムダなことはひとつもない!いっぱい寄り道しないさい!(高学年~)2023/05/27
信兵衛
24
最後、この夏を振り返る、3人それぞれの言葉が楽しい。 本作は題名も良いですよね。濱野京子さんの児童向き作品は、やはり見逃せません。2022/09/10
tan
21
児童書。「みんな違ってみんないい」をテーマとしているのかそれぞれに性格が違っていて、苦手な子と思っていてもそれでイジメに発展することもなく、なんとなく上手く付き合っていく。今の子供たちの過ごし方そのものだと思った。でも海空良のようにお構いなしに踏み込んでくる性格ってどうなんだろ?ある程度の「普通」っていうのも大事だと思う。私はリイチのきちんとした性格が似ているので海空良の性格は合わないだろうなと思った。2023/02/04
そうたそ
12
★★★☆☆ 理屈っぽい性格の主人公・リイチが自分とは相性が合わなさそうな相手と知り合い、やがて友好を深め、自身も成長していくストーリー。短いながら、非常に印象深い一冊だった。児童文学に分類されるのだろうが、是非とも大人にも読んでもらいたい内容。大人は何かと分類したがるが、子供たちにとっては互いの違いなど、個性のひとつに過ぎないのだと思う。2023/10/22
のり
9
子供の時って、自分の親と他の親を比べたりもしないし、自分がどうあるかという立ち位置もあまり考えなかったなぁ。でも、理一郎みたいに、あまり関わらないタイプの子と触れ合ううちに、自分を見つめ直せたら、きっと深みのある人間に成長できるのかもしれないなあと思った。この作者さんはすごく児童書らしい児童書を書くのが上手い。2025/04/27