内容説明
中学三年生の悠人は、夜の公園で出会った少女・朱音の秘密を知り、彼女の力になりたいと思うようになるが―
著者等紹介
濱野京子[ハマノキョウコ]
熊本県生まれ。『フュージョン』(講談社)でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)で坪田譲治文学賞を受賞。作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
YA出版会の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
101
YA。ヤングケアラーをテーマにした話だと聞いて手に取った本だけど、ピュアッピュアな恋愛話だった。▽中学3年の悠人(ゆうと)は優秀な兄と比べられ、くさくさした気分を紛らわすために夜にジョギングをしていた。悠人は、夜中の公園でひとり座り込んでいる少女朱音(あかね)と出会う。落ち込んでいる自分と重ね合わせ朱音を気遣ううちに、悠人は朱音のことをもっと知りたいと思った。朱音は隣の中学2年で、母親が病気だった。家事全般と幼い妹の世話をする朱音のために、悠人は何とかしたいと思う。▽同情なのか愛なのか。ふたりに幸せあれ2021/09/21
美紀ちゃん
99
2021年夏の課題図書。 ヤングケアラー→18歳未満で家族の世話や家事をしている子供のこと。 働いている人は介護休暇が制度としてあるが、 子供は介護のために学校を休んでも、ただの欠席。 本人が話したがらないケースが多く、そういう実態があることを知らない人が多い。 中学生の恋愛ストーリーだけど、 ヤングケアラーという言葉を初めて知った。 作者の濱野京子さんも小さい頃に介護をしていたらしい。なるほど。2021/04/20
chimako
92
【読書感想文コンクール課題図書】爽やかな読後感のヤングアダルトだった。主人公悠人と公園でであった少女朱音の可愛らしい恋物語を中心に高校受験、家族との関わり、そしてヤングケアラーという最近の社会問題も絡めて物語は進む。優秀な兄を持ったがゆえの面白くなさや父と母の別居などに気持ちを波立たせながら受験に向かう悠人。病気の母を介護しながら幼い妹の世話をする朱音。二人が出会うことで心の扉が開く。誰にも言えなかった家庭の事情を話せる事で息抜きできる朱音と何か役に立ちたい悠人。人は基本優しいのだと改めて思う。2021/05/27
ムーミン
89
最近調査結果が出て、報道に取り上げられることの多くなった「ヤングケアラー」。優しい文章と内容で、若い頑張り屋さんたちの切実な辛さが心にしっかりと落ちました。2021/05/08
ゆみねこ
87
最近メディアで目にすることが多くなった「ヤングケアラー」を取り上げた1冊。両親の別居や優秀な兄と比較され家に居場所を無くしたと感じている受験生の悠人と、病気の母を支え幼い妹の面倒をみるヤングケアラーの朱音。爽やかな恋をからめ読み心地は良い‼支援が必要な家庭に必要な支援が届くこと、学校や教師の正しい理解の重要さ。子供にも大人にもお薦めの1冊。 2021/06/19