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出版社内容情報
被爆証言者の記憶を、広島の高校生が油絵に描いて記録する『次世代と描く原爆の絵』プロジェクトが、2007年にスタートしました。証言者と密に接することで、今を生きる高校生たちが戦争や原爆を見つめなおす姿は、まさにバトンが手渡された瞬間です。
内容説明
「このままでは原爆のことが忘れられてしまう」と、勇気を振りしぼって話しはじめた被爆体験証言者の記憶を、広島市立基町高校創造表現コースの生徒たちが一年をかけて油絵に描いて記録する、『次世代と描く原爆の絵』プロジェクト。証言者と密に接することで、平和な広島で今を生きる高校生たちが戦争や原爆を見つめなおしていくさまを綿密に取材して描いた、平和について考えるノンフィクション。
目次
第1章 時が止まった八月六日
第2章 キャンバスに刻まれた記憶
第3章 いのちの水と黒い雨
第4章 ある家族のこころの旅路
第5章 お父ちゃんとの約束
第6章 過去と未来をつなぐバトン
著者等紹介
弓狩匡純[ユガリマサズミ]
作家・ジャーナリスト。1959年兵庫県生まれ。米テンプル大学教養学部卒業。世界50か国以上の国々を訪れ、国際情勢、経済、文化からスポーツに至る幅広い分野で取材・執筆活動を続ける。第15回開高健ノンフィクション賞の最終候補作に選ばれた『平和の栖 広島から続く道の先に』が2019年7月に集英社クリエイティブから刊行予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
117
★★★☆ 被爆体験者への取材を繰り返した高校生が、原爆を「絵画」で記録。写真はどうしても客観的で無表情なものになるが、絵画は主観的で感情的なものとなり、原爆の事実を伝えるためにはより効果的だろう。2020/08/06
ぶち
114
原爆が広島に落とされてから75年、被爆者の平均年齢は83歳。やがて、被爆者がいなくなってしまう日も近いです。被爆者の記憶は失われていってしまいます。被爆者の"記憶"を、高校生が絵にして"記録"する[次世代と描く原爆の絵]プロジェクトでは、これまでに40人の被爆者の記憶を、111名の高校生が134点の絵にしてきました。絵に記憶していくことは、戦争や原爆を見つめ直すバトンが次世代の人に手渡されていくことです。そして、プロジェクトの絵を観た人も、この本を読んだ私たちにもバトンは渡されているのです。2020/08/06
Aya Murakami
94
図書館本。 8月6日に広島に落とされた原爆によって壮絶な体験をした方々の記憶を現代の若者が絵画にするという話。「下手でもいいから」という話で描いたらしいのですがどの絵も迫力があって生々しい。公的な記録は上空から空襲でもするように撮影した写真しかないのか。そりゃあ落とした側に罪悪感は無くなるよね…。2022/10/15
とよぽん
66
読友さんたちの感想に誘われて。修学旅行の引率で何度も広島を訪ねたが、広島市立基町高校創造表現コースの生徒による『次世代と描く原爆の絵』プロジェクトは知らなかった。「平和のバトン」という本書のタイトルにも心惹かれる。高校生の柔らかな感性で被爆者の「記憶」を「記録」に残す、素晴らしいプロジェクトだ。掲載された油絵は見事な作品ばかりだ。もう退職したので、自分のペースで旅をして平和のバトンに触れて来ようと思った。この夏、行けるだろうか?2020/05/25
美紀ちゃん
58
絵の上手い高校生と、原爆を体験した人がタッグを組み、絵を描く企画。当時誰も記録に残すことができていない。原爆の写真はアメリカ人が撮った数枚しか知られていない。広島の高校の創造表現コースの生徒が証言者とたくさん話し合い、協力しあって完成させた。等身大の被爆者と出会い、寄り添えたことで、多くを学べた良い企画。次世代と描く原爆の絵は、過去と未来をつなぐ平和のバトン。これ絵で伝わる。読みやすい。泣ける。 https://ameblo.jp/mikann-1124/entry-12605299595.html2020/06/19