出版社内容情報
古生物シリーズ第九弾は、『古第三紀・新第三紀・第四紀の生物』。長きにわたり世界に君臨した恐竜、海棲哺乳類がついに地球の表舞台から消え去り、舞台は哺乳類と鳥類への世界へ移ります。恐竜の傍らで虎視眈々と変化を遂げた哺乳類と鳥類は、白亜紀末の激動をどう乗り越えたのか? 恐竜亡き後の世界に君臨できた理由は? 現代につながる新生代を舞台に、陸上、海中で繰り広げられる生物たちの姿に迫る。最新の研究成果をもとに、貴重な化石写真と美しいイラストで彩られる本書。「古生物シリーズ」のグランドフィナーレを飾るにふさわしい1冊です。
目次
新生代 第零部(「人類最良の友」たち;もっと速く、もっと大きく)
第1部 古第三紀(大量絶滅事件の生き残り;鳥類、“水中”へ進撃す;緑の川、白の川;またもやドイツに“窓”は開く;バルトの琥珀;哺乳類!哺乳類!哺乳類!!;哺乳類、海へ)
著者等紹介
土屋健[ツチヤケン]
オフィスジオパレオント代表。サイエンスライター。埼玉県生まれ。金沢大学大学院自然科学研究科で修士号を取得(専門は地質学、古生物学)。その後、科学雑誌『Newton』の記者編集者を経て独立し、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
21
さあ、哺乳類時代の幕開けです。いやあ、なんて面白いんだろう!最初に俯瞰した説明も入っているので、初心者にもわかりやすいです。猫、犬、ペンギン…大好きな原生動物と比較しながら読める、という部分も楽しいです。まだまだ研究がこれからという種類(研究者が「おたくの机の中に化石が眠ってませんか~」と聞きこんでる話にニヤリ)にドキドキしたり、クジラ類のミッシングリンクに盛り上がったり。日本は海生哺乳類の研究の場にはぴったりだなあ。面白かった!2017/05/31
ヨクト
20
個人的待望シリーズの続編。オールカラーで生物の化石とイメージ図を搭載。進化の過程に思いを馳せる魅力満点の内容は、遂に恐竜絶滅後の世界へ。サーベルタイガー登場。イヌ、ネコ、ゾウ、クマ、ウマなどの現生動物の祖先が続々登場。まさに哺乳類の時代の幕開けだ。2016/09/10
白義
13
恐竜の時代が終わり当然新生代の覇者となったのは我らが哺乳類、上巻である本書では前半に総論が置かれ、イヌ、ネコ、クマ、ウマ、ゾウと現生哺乳類のご先祖様なフレンズたちが勢揃い。確かにどこかで見たようだが、しかしデカくて荒々しい野生パワーを濃密に感じる。表紙のサーベルタイガー、スミロドンのこの勇ましい牙である。総論が終わった後の第一部、古第三紀編の哺乳類たちは基本的に今に繋がるものではなく、殆どが絶滅したまま系統がたち消えた生き物たち。なので既視感は多少あるが、やはり別物なのを強く感じる不思議な哺乳類たちが多め2017/03/20
更紗蝦
10
オイルシェールと共に化石の採掘が行われていたドイツの「グルーベ・メッセル」(メッセル・ピット)が、意外な経緯で保全され、ユネスコの世界自然遺産に認定されていて興味深かったです。「オイルシェールの採掘終了」→「政府が採掘後の穴を産業廃棄物の集積場にする計画をたてる」→「古生物学者が反対」→「20年間の論争の間に緊急発掘を進める」→「良質な標本がたくさんできる」→「科学的重要性が評価され政府が産廃計画を撤回」→「1995年にユネスコの世界自然遺産に認定」2017/01/28
えすてい
8
白亜紀末までに鳥類以外の恐竜など多くの爬虫類が絶滅し、程なく哺乳類の時代を迎える。新生代の地質時代の呼称は幾度と変遷を経ているようだ。哺乳類も、現生のものへと繋がっていくミッシングリンクをつなぐ生き物が少なくないが、新生代の気候にたまたま適応した生き物が、肉食も植物食も、陸上でも水中でも、多様化していった。個人的にはクジラの進化の流れは興味が尽きない。2019/06/11